【練馬区の新たな交通対策】バス路線の廃止と「デマンドタクシー」の未来

おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。

今回は、バス路線の廃止・減便という現実と、練馬区が取り組む新たな交通手段「デマンドタクシー」について、4つのパートに分けてわかりやすくお伝えします。

地域の移動手段をどう確保するのか——。これは、特に高齢者や子育て世帯にとって切実な課題です。ぜひ最後までご覧ください。


目次

  1. 今、何が起きているのか?バス路線の廃止と減便
  2. 練馬区が取り組む「デマンドタクシー」とは?
  3. 実証実験で見えてきた課題と改善点
  4. 今後の展望と私からの提言

1.今、何が起きているのか?バス路線の廃止と減便

全国的に、バス路線の減便・廃止が相次いでいます。運転手不足や車両の確保困難、赤字経営などが要因です。

例えば、西武バスの「泉38系統」は、住宅街を小型バスで走っていましたが、2025年3月末で廃止となりました。

練馬区内でも、コミュニティバス「みどりバス」が例外ではなく、運転手不足や利用者の減少を背景に、ルート統合や本数削減が進んでいます。

その結果、地域によっては交通アクセスが大きく制限され、日常生活に支障をきたしている現状があります。

2.練馬区が取り組む「デマンドタクシー」とは?

このような課題を受けて、練馬区では新たな選択肢として「デマンドタクシー」の導入を試みています。

デマンドタクシーとは、定時・定路線で走る従来のバスとは異なり、スマートフォンや電話で予約できる乗合型のタクシーです。指定された乗降ポイント間を移動でき、柔軟なサービスが可能です。

2024年度には、南大泉・東大泉エリアで実証実験が行われました:

  • 運行時間:平日8:30〜16:30
  • 乗降ポイント:40箇所
  • 車両:車椅子対応ミニバン1台

高齢者や子育て中の方々にとって、外出の手助けとなる新しい仕組みとして注目されています。

3.実証実験で見えてきた課題と改善点

実験では延べ1,200人が利用し、多くの好意的な評価が寄せられました。

特に:

  • 「駅までの移動が楽になった」
  • 「ベビーカーや荷物があっても安心」

などの声が多く、高いニーズが確認されました。

しかし一方で、以下の課題も明らかになりました:

  • 収支率が5%程度と採算性が厳しい
  • 運行時間が短く、18時以降の利用ができない
  • 制度自体の認知度が低い

これを受けて、令和7年度以降の見直しでは以下の改善が予定されています:

  • 運行時間の延長(夜間対応)
  • 毎日運行への拡大
  • 広告収入による収支改善

4.今後の展望と私からの提言

私は、練馬区議会の「交通対策等特別委員会」において、次のような提案を行っています。

① 実証実験を待たず、複数地域で並行的に検討すべき

今まさに困っている方がいる以上、1地域ずつの実験では間に合いません。緊急性の高い地域では同時に複数の対策を進める必要があります。

② 採算性の壁を越える「挑戦と改善」の姿勢を

デマンド型交通の採算が厳しいのは想定内です。しかし、「赤字だからやらない」では何も始まりません。試行錯誤と改善こそが、地域に根ざした新しい交通の形を生み出します。

③ 高低差を加味した「交通不便地域」の定義を

「バス停まで徒歩5分」でも、急坂を上り下りする地域では高齢者や子育て世帯には実質的な障害です。地図上の距離だけではなく、地形の特性を踏まえた計画が求められます。


地域交通は、住民の暮らしを支える「命綱」です。特に練馬区のような広域住宅地では、柔軟で持続可能な仕組みが求められます。

今後も、皆さんと共に知恵を出し合い、より良い交通政策を築いてまいります。

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