おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。
今回は、「練馬区マンション管理適正化推進計画(素案)」について、できるだけかみ砕いて解説します。
この計画は、令和8年度(2026年度)〜令和17年度(2035年度)の10年間、練馬区のマンション政策の“土台”になる重要な方針です。
マンションにお住まいの方はもちろん、これから購入を検討している方、親御さん世代の住まいの将来が気になる方にも、ぜひ押さえていただきたい内容です。
「うちのマンション、将来大丈夫かな…?」という不安に対して、区が用意している支援策も整理していきます。
※本記事は「素案(案)」段階の内容をもとに整理したものです。最終的な計画は今後の議論・意見反映で変更される可能性があります。
目次(クリックで該当箇所へ)
- なぜいま「マンション管理計画」が必要なのか(背景と目的)
- 練馬区のマンションの現状と「二つの老い」
- 計画の3つの基本方針
- 具体的な支援メニュー(セミナー・相談・助成制度など)
- 区民の皆さんに関係するポイントと、これからできること
- まとめ
1. なぜいま「マンション管理計画」が必要なのか(背景と目的)

まず背景からです。総務省の統計によると、練馬区には約41万9,000戸の住宅があり、そのうち分譲マンションは約5万6,500戸。さらにこの20年間で、分譲マンションの戸数は約1.7倍に増えています。
つまり練馬区では、「マンションに住む」ことがごく一般的な住まい方になっています。
マンションは「私有財産の集合体」=合意形成が要

マンションは一戸建てと違い、区分所有者が複数いて、価値観も年齢も生活事情もさまざまです。その中で話し合い、合意形成しながら、次のことを進めていく必要があります。
- 建物の修繕
- 設備の更新
- 防犯・防災対策
- 地域との関係づくり
国の制度改正で「自治体の計画」と「認定制度」が整備
国もマンションの老朽化・管理不全を重く見て、「マンション管理適正化法」を改正し、
- 自治体ごとの「マンション管理計画」を作ること
- 管理が一定基準を満たすマンションを「認定」する制度
こうした枠組みを整えました。
今回の素案のポイント(目的は大きく2つ)

練馬区でも令和5年に計画をつくって動き始めていますが、今回は令和6年度に実施した大規模アンケート調査をもとに、内容をアップデートした「素案」が示されました。
- 管理不全のマンションを生まない・増やさない
- 管理組合が主体的に動けるよう、区がしっかりサポートする
これが、今回の計画の出発点です。
2. 練馬区のマンションの現状と「二つの老い」
次に、練馬区のマンションの現状と課題です。区内には分譲マンションが約1,500棟あり、
- 建設から40年以上の「高経年マンション」:棟数ベースで約13%
- 30年以上のマンションまで広げると:約4割近く
国交省が示す「二つの老い」

国土交通省はマンションの課題として「二つの老い」という言葉を使います。
- 建物の老い(躯体・設備・配管・エレベーター等の老朽化)
- 居住者の老い(住んでいる人の高齢化)
練馬区のアンケート結果でも、高経年マンションほど次の課題が目立ちます。
- 住民の高齢化
- 建物・設備の老朽化
- 空き住戸・賃貸化の増加
- 修繕積立金が足りていない
- 長期修繕計画が作られていない
- 管理費・修繕積立金の滞納
放置が進むと、暮らし全体のリスクに

さらに東京都の「管理状況届出制度」などから、
- 管理組合が存在しない
- 管理規約がない
- 長期修繕計画がない
といった、管理不全の兆候が見られるマンションもあります。
この先に起こり得るのが、設備トラブル・耐震性の課題の放置、そして最終的には建替えもできず「スラム化」してしまうリスクです。
「まだ大丈夫」「誰かが何とかする」と先送りすると、10年・20年後に取り返しがつかなくなりかねません。
3. 計画の3つの基本方針

今回の計画では、マンション管理を進めるための「3つの基本方針」が示されています。
- 【方針1】マンション管理組合による自主的かつ適正な維持管理の促進
- 【方針2】高経年マンションを中心とした管理不全の予防と、継続的な実態把握
- 【方針3】マンションにおける安全・安心な環境の確保
かみ砕くと、次の3本柱です。
- ① 管理組合が自分たちで動けるように支える
- ② 特に古いマンションは状況を把握し、悪化する前に手を打つ
- ③ 地震・災害・高齢化にも対応できる安心な住環境をつくる

そして大前提として、マンション管理の主体はあくまで「管理組合」です。区が代わりに管理するのではなく、区分所有者が責任を持って管理し、区はそれを支えるという整理になっています。
4. 具体的な支援メニュー(セミナー・相談・助成制度など)
ここからは「具体的にどんな支援があるの?」という点を、要点に絞ってご紹介します。
(1)管理組合の自主的な活動を支える(方針1)

まずは「学び」と「相談」です。練馬区ではこれまでも、
- ねりまマンションセミナー「未来塾」
- 分譲マンション管理運営無料相談
などを実施してきました。アンケートでも「続けてほしい」「当事者同士で情報共有できる場が欲しい」という声が多く寄せられています。
今後は、
- 管理組合役員向けのセミナー・講座の充実
- 専門家(マンション管理士など)による個別相談
- 必要に応じた専門家派遣・費用の一部助成
といった方向で、支援を厚くしていくとされています。
「管理計画認定制度」も重要
管理組合が管理計画を区に提出し、一定の基準を満たすと「認定マンション」として評価される制度です。期待されるメリットとして、
- 資産価値・社会的評価が高まりやすい
- 管理の見直しのきっかけになる
- 住宅金融支援機構の融資で金利優遇
- 大規模修繕等で固定資産税の特例が受けられる場合がある
などが挙げられています。区内の認定件数はまだ30件台ですが、認定を目指せるマンションを増やす方針が示されています。
(2)高経年マンションの管理不全を予防(方針2)

特に古いマンションへの対策です。区は、東京都の「管理状況届出制度」やアンケート結果をもとに、分譲マンションのリストを整備・更新し、管理不全の兆候があるマンションを把握する仕組みを進めています。
今後は、
- アンケート未回答マンションへのフォロー調査
- 高経年かつ小規模など、リスクが高いマンションの抽出
- 専門家を含めた「支援チーム」による個別訪問
- 助言・指導(必要に応じて勧告)
といったステップで、「危険な状態になる前に、早めに手を打つ」姿勢が明確になっています。改善が進まない場合、安全上のリスクが高いと判断されれば、建築基準法に基づく是正措置も検討し得る、とされています。
(3)安全・安心な住環境の確保(方針3)

防災・耐震・バリアフリーなど、安心して住み続けられる環境づくりです。具体例として、
- 耐震診断へのアドバイス
- 耐震改修工事への助成
- 在宅避難を想定した非常用給水栓・マンホールトイレ整備への補助
- エレベーター設置やスロープ等、バリアフリー改修への助成
といったメニューが整理されています。区としては、令和12年度末までに耐震化率98%を目指すとしています。
5. 区民の皆さんに関係するポイントと、これからできること

最後に、「自分ごと」として押さえるポイントを整理します。
① まずは「自分のマンションの現状」を知る
- 長期修繕計画はあるか?
- 修繕積立金は足りそうか?
- 総会の出席率はどうか?
- 管理会社・専門家と連携できているか?
管理組合の資料や総会で、ぜひ確認してみてください。
② 総会・理事会に参加する(「誰かがやる」から一歩前へ)
マンション管理は、区分所有者一人ひとりの関与が重要です。特に若い世代の参加は、将来の資産価値や住環境を守るうえで大きな意味があります。
③ 区のセミナー・相談窓口・助成制度を活用する
- ねりまマンションセミナー「未来塾」
- 分譲マンション管理運営無料相談
- 耐震・バリアフリー・設備更新等の助成制度
「用意されているのに知られていない」制度は多いです。まずは知ること、そして使うことが大切です。
④ これから購入する方は「建物」だけでなく「管理」を見る
- 管理計画がしっかりしているか
- 認定マンションかどうか
- 修繕積立金・長期修繕計画の中身
「新築か中古か」だけでなく、管理の質がこれからの時代はますます重要になります。
まとめ
今回の「練馬区マンション管理適正化推進計画(素案)」は、2026〜2035年度の10年間を見据えて、
- 管理不全を生まない・増やさない
- 管理組合が主体的に動けるよう支える
- 高経年マンションは早期把握・早期支援
- 耐震・防災・バリアフリーで安全安心を底上げ
という方向性を明確にしたものです。
この計画はまだ“素案”です。今後、区議会での議論や区民の皆さんの意見を踏まえ、より良い形にブラッシュアップしていく必要があります。私自身も、現場の声がきちんと反映されるよう取り組んでまいります。
「管理組合でここに困っている」「こういう支援があったらいい」など、ご意見・ご質問があれば、ぜひお寄せください。マンションのことに限らず、区政全般についてもお気軽にご相談ください。
