こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。
今回は、ニュースなどでも耳にする機会が増えた「存立危機事態」について、
基本の定義から、何ができるようになるのか、歯止め(新3要件)と手続きまで、5つのパートでわかりやすく整理します。
ポイントは、私たち自身が「いつ・どんな条件で・どこまで」制度上決まっているのかを、正確に理解しておくことです。
それでは順番に見ていきましょう。
目次
- 存立危機事態とは?
- なぜ今注目されているのか?(2025年11月7日の国会答弁)
- 存立危機事態になると、何ができるのか?
- 「何でもできる」わけではない:新3要件という歯止め
- 手続きと、私たちが押さえるべきポイント
1.存立危機事態とは?
存立危機事態とは、ひとことで言うと――
日本が直接攻撃されていなくても、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃がきっかけとなり、
日本の存立や、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があると認められる事態。
ここで重要なのは、次の2点です。
- 「日本への直接攻撃」がなくても成立し得る(ただし条件は厳しい)
- “密接な関係にある他国”への攻撃が引き金になり得る
つまり、「同盟国・友好国への攻撃が、日本にとっても“存立に関わる危機”になる」と判断されるケースが、制度上あり得る、という整理です。
2.なぜ今注目されているのか?(2025年11月7日の国会答弁)
この言葉が大きく注目されたのは、2025年11月7日の衆議院・予算委員会でのやり取りが一つのきっかけです。
立憲民主党の岡田克也議員の質問に対し、高市早苗総理が、
台湾周辺で海上封鎖が起き、それを解くために米軍が行動し、その米軍に対して武力行使が行われるような場合には、
「存立危機事態になり得る」という趣旨で答弁しました。
これに対し、中国側が反発し、外交問題としても波紋が広がりました。
ただし、ここは冷静に整理が必要です。
この答弁は、あくまで「どのような場合に該当し得るか」を例示したもので、
答弁それ自体が直ちに「新たな方針転換」を意味する、という整理ではありません。
3.存立危機事態になると、何ができるのか?
存立危機事態と認定され、さらに後述の条件(新3要件)を満たすと、政府は自衛隊に対して防衛出動を命じ、
必要最小限度の範囲で武力の行使に至る可能性があります。
ここで誤解されやすいのが、
- 「認定されたら、何でもできる」
- 「自動的に武力行使できる」
という理解ですが、これは正確ではありません。
存立危機事態は、あくまで“集団的自衛権の限定的な行使”が問題となり得る枠組みであり、
制度上の歯止め(次の新3要件)がセットで働きます。
4.「何でもできる」わけではない:新3要件という歯止め
存立危機事態で武力の行使に至り得るのは、いわゆる「新3要件」を満たす場合に限られます。
- 日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険があること
- これを排除し国民を守るために、他に適当な手段がないこと(必要性)
- 行使する武力は、必要最小限度にとどまること(限定性)
この中でも、制度上の歯止めの肝は、③「必要最小限度」という限定です。
「やれることが広がる」のではなく、あくまで厳格に限定された範囲でのみ認められる、という建て付けです。
5.手続きと、私たちが押さえるべきポイント
最後に、手続きも大切です。
政府は、事態対処法に基づき対処基本方針を閣議決定し、原則として国会の承認を求める流れになります。
つまり、制度としては、
- 要件(新3要件)という中身の歯止め
- 国会承認などの手続きの歯止め
が組み合わさっています。
そして、今の時代は、いつ何が起こるか分かりません。
だからこそ私たち自身が、感情論やイメージではなく、
「いつ・どんな条件で・どこまで」制度上決まっているのかを正確に理解しておくことが大切です。
中国の圧力に左右されることなく、わが国として冷静に対応すべきです。
私も、区議会議員として、国政の論点についても“分かりやすく、正確に”発信を続けてまいります。




