おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。
さて今日は、「中学受験の現状」と「教育コストの上昇」、そして「地元の公立中の魅力をどう上げるか」についてお話しします。
受験生の皆さんへ(エール)
いよいよ入試本番のシーズンです。
1月10日頃から埼玉県内の入試が本格化し、2月1日からは東京都内でも入試の中心日を迎えます。
これから入試本番を迎える小学6年生の皆さん、ここまで毎日コツコツ積み上げてきた努力は、本当に立派です。
私も中学受験を経験しましたが、今ほど競争が激化していなかった時代でした。だからこそ、今の子供たちが背負っている負荷の大きさを、強く感じています。
当日は、点数だけでなく「落ち着いて実力を出せるか」が勝負です。深呼吸して、いつも通りで大丈夫。
皆さんが希望する学校で新しいスタートを切れることを、心から応援しています。
目次
① 首都圏の中学受験、いま何が起きている?
まず前提として、中学受験は全国一律ではなく、首都圏を中心に特に集中しています。

- 東京都内の人気校では、受験の中心日が2月1日午前に設定されることが多い
- 2025年入試では、この時間帯に受験した小学6年生が約42,801人とされています
- 首都圏1都3県の公立小6在籍者数に対する受験率は15.2%(15%台が継続)
また、私立・国立中学の在籍率で見ると、東京の突出ぶりが分かります。
| 順位 | 都道府県 | 私立・国立中 在籍率 |
|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 23.7% |
| 2 | 神奈川県 | 13.3% |
| 3 | 奈良県 | 11.5% |
| 4 | 広島県 | 11.4% |
| 5 | 京都府 | 10.8% |
さらに、23区別(2020年データ)の在籍率は次の通りです。
| 順位 | 区 | 私立・国立中 在籍率 |
|---|---|---|
| 1 | 港区 | 56.6% |
| 2 | 文京区 | 52.5% |
| 3 | 千代田区 | 49.9% |
| 4 | 目黒区 | 49.4% |
| 5 | 渋谷区 | 49.2% |
| 17 | 練馬区 | 20.3% |
在籍率がこの規模ですので、受験率は実態としてはもう少し高い可能性もあります。
少子化で母数が減る中でも受験者数が大きく減っていないため、“率”として上がりやすく、競争が激化している要因の一つになっています。

競争が激化すれば、偏差値が上がり、入試問題の難易度も上がる。結果として「塾に行かなければ合格が難しい」という構図が強まっていきます。
私は、偏差値主義・有名大学進学主義に寄りすぎた中学受験のあり方にも疑問がありますし、そもそも「塾に行かないと対応できない」仕組み自体にも課題があると感じています。
② 高騰する教育費
次に教育費です。これも、年々重くなっています。

中学受験塾の費用感
- 月額:数万円(目安として4〜10万円程度)
- 通塾期間(平均2.5年)や学年が上がるほど高額化
- 総額:180万円前後が平均と言われる
- 講習や個別指導を追加すると、小学6年の年間費用が100万円超のケースも
「公立中なら安い」と思いがちですが…

文科省の学習費調査(令和5年度)では、中学生1人あたりの年間学習費は次の通りです。
| 区分 | 年間学習費 |
|---|---|
| 公立中 | 約54.2万円 |
| 私立中 | 約156.0万円 |
確かに、学校教育費そのものは、公立が約15万円、私立が約113万円で大きな差があります。
しかし一方で、塾・通信教育などを含む学校外活動費は、公立が約35.6万円、私立が約42.3万円で、差はそこまで大きくありません。
つまり、公立中に進んでも「学校外の学習コストが重い」現実は変わらない、ということです。
塾が“前提化”する構造
- 内閣府の分析では、小中高生がいる家庭のうち、塾に支出している家庭は4〜5割で推移
- 支出者平均額は、2004年度の20.4万円 → 2021年度の31.3万円へ増加傾向
「塾に行くのが前提化」+「人件費などで値上げが起きやすい」
この掛け算で、家計負担がじわじわ重くなる構造になっています。
③ 少子化との関係
では、この高騰する教育費は、少子化にどう影響しているのか。

国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査」では、理想の子供数を持たない理由の最多が、
「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」=52.6%です。
さらに、妻35歳未満の夫婦では、同じ理由が77.8%にもなっています。
児童手当の拡充、出産費用の支援、幼稚園・保育の無償化、給食費の無償化など、子育て支援は前進してきました。
しかしその一方で、「より良い教育を受けさせたい」という思いが強まるほど受験競争が激化し、塾代の高騰などを通じて、教育費全体が押し上げられている現実があります。

だからこそ、根本原因をよく分析し、対策を打たなければ、「教育コストの重さ」という、少子化とも直結する社会の基礎問題は、ずっと続いてしまいます。
④ 解決の方向性(公立中の魅力を上げる)
解決策の一つとして、私は「公教育の質の向上」が不可欠だと考えています。

わざわざ塾代を払って遠い私立に通わなくても、近くの公立中に「ここに行きたい」と思える学校があれば、家庭の教育コストを下げることができます。
教育は我が国の一丁目一番地であり、子供たちは日本の未来です。
教育への投資は未来への投資であり、必ず社会全体に返ってきます。
具体策(方向性の例)


- 教育内容や理念で差別化し、「選べる」公立中へ(例:国際バカロレア教育、習熟度別授業、探究学習・STEAM、英語学習の強化 など)
- 教員の負担を下げ、教育の質を上げる投資(支援員、ICT、外部人材の活用)
- 放課後・長期休暇の学習支援を“常設”に(校内自習室+指導員+オンライン教材)
- 部活動・体験活動を、家庭の追加課金ではなく“公的にアクセス可能”に
地元の公立中が「ここで十分伸びる」と思える状態になれば、子育ての安心感は確実に上がります。
まとめ

- 首都圏の中学受験は、少子化の中でも受験者が大きく減らず、競争が激化しやすい
- 塾代を中心に教育費は上がり続け、「公立中でも学校外コストが重い」現実がある
- 教育費の重さは、少子化の大きな要因にもなっている
- だからこそ、公教育の質を上げ、公立中の魅力を高めることが重要
受験生の皆さんは、最後まで自分のペースで。深呼吸して、いつも通りで大丈夫です。
そして行政・政治の側は、子供たちと子育て世代が「安心して挑戦できる環境」を、もっと整えていかなければなりません。
今後も、教育と子育て支援、公教育の質の向上に全力で取り組んでまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




