おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。
さて今回のテーマは――
「大阪都構想って、結局なに?東京23区の“特別区”と何が違うの?」です。
2026年1月、大阪府知事(吉村洋文氏)と大阪市長(横山英幸氏)が辞職を申し出て、知事選・市長選を同日に行う“出直しダブル選挙”へ、という動きが報じられました。背景として語られているのが、いわゆる「3度目の大阪都構想」の議論です。
ただ、東京に住んでいると「大阪市の24区=東京23区みたいな区」と誤解が起きやすい。ここを混同すると、議論が一気に分かりにくくなります。
この記事でわかること
- 「出直しダブル選挙」とは何か
- 大阪市の「24区」と東京23区の決定的な違い
- 大阪都構想(特別区設置)が“何を変える制度”なのか
- 最大の論点:財源配分と財政調整
- 東京の特別区制度の実態(都の権限・都区財政調整)
目次
- 「出直しダブル選」って何?
- 大阪市の「24区」は東京23区と“同じ区”じゃない
- 大阪都構想(特別区設置)は“何を変える制度”なのか
- 大阪案のキモ:財源配分と財政調整(78.7%・20億円加算など)
- 東京23区「特別区制度」の実態(都の権限・財政調整のリアル)
- 東京と大阪:同じ点/違う点(混同ポイントを整理)
- 私の意見:東京は“都が強すぎる”――分権が次の成長につながる
- まとめ:区民の皆さんへの問いかけ
1.「出直しダブル選」って何?

ニュースのポイントを、まず制度の前提抜きで整理します。
報道では、吉村知事と横山市長が辞職し、知事選・市長選を同日に実施する、いわゆる“出直しダブル選挙”に臨むという流れです。狙いはシンプルで、「もう一回、制度を動かすなら、改めて民意を取りに行く」という構図になります。
2.大阪市の「24区」は東京23区と“同じ区”じゃない

ここが一番重要です。大阪市の24区(北区・中央区など)は、政令指定都市に置かれる“行政区”です。ざっくり言えば、市役所の内部組織(行政運営の区割り)に近いイメージです。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
- 区長は基本的に公選ではない(市長が任命)
- 区独自の議会はない
- 区としての独自課税権もない
- つまり「区=自治体」ではない
一方、東京23区の「特別区」は、法律上の位置づけとして“基礎自治体”です。区長は公選で、区議会があり、条例制定や課税など自治体としての権能を持っています。
混同しやすいポイント
「大阪市24区」と「東京23区」は、見た目の言葉は似ていますが、自治体かどうかが決定的に違います。
3.大阪都構想(特別区設置)は“何を変える制度”なのか
3-1)大阪市を“廃止”して、複数の「特別区」を新設する

大阪都構想(特別区設置)の骨格は、大阪市という自治体を廃止し、複数の特別区をつくることです。2020年の案では「4区」を設置する設計でした。
制度が動くと、住民は、
- (大阪府)知事・府議会
- (特別区)区長・区議会
をそれぞれ選ぶことになり、広域(府)+基礎(特別区)の二層制に再編されます。
3-2)手続きが重い(住民投票が必須)

特別区をつくるには、協議会で「特別区設置協定書」(設計図)を作成し、府・市それぞれの議会の承認を得たうえで、住民投票で過半数の賛成が必要になります。
3-3)役割分担:府が“司令塔”、特別区は“住民に近い行政”

考え方としては、
- 大阪府:成長戦略、広域インフラ、防災など広域の司令塔
- 特別区:保育・福祉・健康・公園・地域施設など住民に身近なサービス
という役割分担になります。大阪府側の説明資料でも、特別区の事務は「中核市並みを基本」としつつ、住民に身近な事務を広く担う方向性が示されています。
3-4)暮らしは何が変わる?
制度が変わると、例えば「大阪市○○区」ではなく、「○○特別区」という自治体になるイメージです。
ただし本質は名称ではなく、「どの仕事が府で、どの仕事が区か」という権限配分です。ここが住民サービスの質・スピードに直結します。
4.大阪案のキモ:財源配分と財政調整(78.7%・20億円加算など)

制度設計で最重要なのは、結局のところ「権限」と「お金」です。仕事の分け方が変わるなら、お金の流れも変わります。
4-1)税目の整理(府税・区税)
協定書の考え方では、法人・固定資産系などを広域(府)側に寄せ、住民に身近な税目を区へ、という整理が示されています。
4-2)財政調整が必須
特別区間の財政格差を是正し、必要なサービス水準を確保するため、特別区財政調整交付金の仕組みが置かれます。
4-3)交付割合(例:特別区78.7%)と「10年間、毎年20億円」加算

大阪府の説明では、財源配分に関して、特別区設置後の安定措置として10年間、毎年20億円を特別加算する考え方が示されています。
つまり大阪都構想は、制度の形だけでなく、財源配分の設計そのものが住民サービスに直結する仕組みだ、ということです。
5.東京23区「特別区制度」の実態(都の権限・財政調整のリアル)

5-1)東京も二層制(都+特別区)
東京も住民が、
- 都知事・都議会
- 区長・区議会
を選ぶ、二層制です。
ただし東京は、歴史的経緯もあり、都が一体的に担う領域が厚いのが特徴です。
5-2)財政:都区財政調整(特別区交付金)
東京の中核も財政調整です。東京都が賦課徴収する税等を原資として、特別区交付金(都区財政調整交付金)として区へ配分します。
そして配分割合については、東京都の発表でも、特別区56%・都44%とされています(令和7年度からの変更)。
6.東京と大阪:同じ点/違う点(混同ポイントを整理)
同じ点(“特別区化”で共通して起きること)
- 政令市の行政区(内部区分)→ 特別区(自治体)へ
- 二層制(広域自治体+基礎自治体)になる
- 役割分担に合わせて、財政調整が必須になる
違う点(ここを混同すると議論が壊れる)
- 区の数と規模:東京は23。大阪案は4区など、自治単位が大きく違う
- どの事務を広域に寄せるか:東京の写しではない(設計で変わる)
- 税財政設計:交付割合・税目・加算措置などで住民サービスが変わる

まとめ:区民の皆さんへの問いかけ
今回は、
- 大阪都構想(特別区設置)とは何か
- 東京23区の特別区制度と何が違うのか
- 財源配分・財政調整がなぜ最重要論点なのか
を整理しました。
もし、皆さんの住む地域で“自治体の形を作り替える”話が出たとき、何を一番重視しますか?
- 広域の意思決定の強さですか?
- 住民に近い自治の強さですか?
- それとも、財源配分の納得感でしょうか?
ぜひ皆さんの考えを教えてください。




