おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。
今回は、2026年度の練馬区予算について、全体像から歳入・歳出の構造、重点施策、そして今後の課題まで、6つのパートに分けて分かりやすくご紹介します。
予算は、区政の考え方が最もはっきり表れるものです。どこにお金を配分し、何を優先するのか。その積み重ねが、区民生活に直結します。
今年度予算は過去最大規模となりましたが、単に「大きいから良い」というものではありません。中身を丁寧に見ていくことが大切です。
本記事では、今年度予算のポイントを整理しながら、区民としてどこを見ていくべきかも含めて解説します。
目次
1.まず結論:今年の予算、全体像
2.歳入:練馬区のお金はどこから来る?
3.歳出:何に使う?
4.重点施策:今年の目玉を一気に解説
5.課題:気になるポイント
6.まとめ:区民としてのチェックポイント
1.まず結論:今年の予算、全体像
まず結論から申し上げます。
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2026年度の練馬区一般会計予算は、3,686.8億円です。これは過去最大規模となります。前年度と比べると約169.9億円の増、率にして4.8%の増加です。
ただし、予算が増えたからといって、それだけで良い予算だと単純に評価することはできません。大切なのは、その中身です。
今年度予算では、子供・福祉・教育・防災といった区民生活の基盤に関わる分野に加え、大江戸線延伸やDXの推進など、将来を見据えた取り組みにも幅広く予算が配分されています。
つまり、今の課題への対応と、将来への投資の両面を意識した予算編成になっている点が特徴です。
2.歳入:練馬区のお金はどこから来る?
次に、歳入、つまり区の収入について見ていきます。
練馬区の財源はさまざまありますが、大きな柱として押さえておきたいのは、主に次の4つです。
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- 特別区交付金
- 特別区税
- 国庫支出金
- 都支出金
このうち、最も大きな比重を占めるのが特別区交付金です。続いて特別区税、さらに国や東京都からの補助金が続きます。
この構造から見えてくるのは、練馬区の予算は、区だけで完結しているわけではないということです。国の制度変更や東京都の方針転換があれば、その影響は区の予算にも直接及びます。
言い換えれば、区の財政運営は、都や国の動きとも密接につながっているということです。
その意味で、区の予算を見る際には、「区が何をしたいか」だけでなく、「国や都の制度の中でどう動いているのか」という視点も欠かせません。
3.歳出:何に使う?
歳入の次は、歳出です。つまり、集めたお金を何に使うのかという点です。
歳出は、大きく2つの見方で確認すると分かりやすくなります。
3-1.目的別に見る
まずは、分野ごとに何に使うのかという「目的別」の見方です。
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主な割合を見ると、保健福祉費が約27%、子供家庭費が約24.6%、教育費が約14.4%となっています。
これを合計すると、福祉・子供・教育の3分野で6割以上を占めています。
つまり、練馬区の予算は、区民の暮らしを支える福祉、次世代を担う子供たちへの支援、そして教育に重点が置かれている構造だと言えます。
これは、少子高齢化が進む中で、子育て支援と福祉を両立しながら、将来への投資として教育にも力を入れていく必要がある、という行政の現実をよく表しています。
3-2.性質別に見る
もう一つ重要なのが、「性質別」の見方です。こちらは、経費の性格で分類する考え方です。
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特に注目すべきなのが、義務的経費です。
義務的経費とは、人件費、扶助費、公債費など、簡単には減らせない支出を指します。これが今年度は約48.8%と、ほぼ半分を占めています。
これは何を意味するのでしょうか。
要するに、区の予算は自由に使えるお金がどんどん増えていく構造ではなく、むしろ必要経費が積み上がりやすい構造だということです。
だからこそ、新しい施策を始めるには、既存事業の見直しや効率化、あるいは将来の成長につながる分野への重点的な投資が必要になります。予算規模が大きく見えても、実際には自由度が高いわけではない。この点は非常に重要です。
4.重点施策:今年の目玉を一気に解説
ここからは、今年度予算の中でも、区民生活に直結する主な重点施策を整理してご紹介します。
4-1.子供・子育て・教育
まず大きな柱となるのが、子供・子育て・教育の分野です。
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5歳児健診が始まります。小学校入学前の段階で、子供の発達に関する課題を早期に発見し、必要な支援につなげていく取り組みです。早めに気づき、早めに支えることができれば、その後の学校生活にも大きな意味を持ちます。
また、入学前までの短期間で支援できるよう、短期療養プログラムも実施されます。発達支援を必要とする子供やご家庭にとって、早い段階で支援の選択肢が広がることは非常に重要です。
さらに、子供誰でも通園事業が本格実施されます。加えて、小学生の朝の居場所事業として、始業前に安心して過ごせる場所を校内に設置する取り組みも進められます。
子育て世帯にとっては、保育や登校前の不安を減らし、安心して働きながら子育てができる環境整備につながる施策です。
4-2.福祉・医療
福祉分野でも、重要な施策が進みます。
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都市型軽費老人ホームについては、1施設の整備に着手し、さらに2施設の事業者公募を行います。高齢化が進む中で、住まいと生活支援の受け皿を着実に広げていくことが求められています。
また、重度障害者のグループホームが来年度開設予定であり、地域生活支援拠点の整備も進められます。障害があっても地域で安心して暮らし続けられる体制をどう整えるかは、今後ますます重要になります。
さらに、障害者の「18歳の壁」解消に向けた取り組みも注目です。放課後等デイサービスを利用していた方が18歳以降に利用できなくなることで、余暇の過ごし方や家族の就労継続が課題になるケースがあります。こうした課題に対し、趣味の講座などに参加できる場を提供することで、本人の生活の質の向上と家族の負担軽減の両立を目指します。
4-3.防災・安全
防災の分野では、いわゆる「攻めの防災」とも言える取り組みが進みます。
田柄地区を空き家等活用促進地区に指定し、接道要件などの基準を見直していくとともに、空き家所有者に対してアウトリーチ型で支援を行います。
空き家対策は、単なる景観や管理の問題にとどまりません。防災性の向上、地域の安全確保、さらには土地利用の適正化にもつながる重要な施策です。放置された空き家を減らし、地域資源として活用していく視点が求められています。
4-4.大江戸線延伸とまちづくり
大江戸線延伸も、引き続き大きなテーマです。
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今年度は延伸推進基金を30億円積み増しし、基金総額は155億円となります。区として本気で延伸を前に進めていく姿勢が、数字にも表れています。
さらに、新駅予定地周辺のまちづくりの方向性を示す「沿線まちづくりデザイン」も策定されます。
大江戸線延伸は、単に鉄道が伸びるだけではありません。駅周辺の土地利用、交通結節機能、にぎわい創出、生活利便性の向上など、まち全体の将来像と一体で考える必要があります。まさに、練馬区の未来を左右するプロジェクトです。
4-5.産業・商店街支援
産業・商店街支援も、今年度の重要なテーマです。
今年度に引き続き、還元率20%、2カ月間のキャッシュレス決済ポイント還元事業が実施されます。物価高の中で、消費を下支えしながら地域経済を活性化させる狙いがあります。
また、商店街の街路灯について、LEDランプの個別交換への補助も進められます。地域のにぎわい、安全性、維持管理コストの軽減という面からも意義のある取り組みです。
4-6.DX(デジタル区役所)
DXの推進も着実に進められます。
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子育てスタート応援券や産後ケア事業者利用カードの電子化、粗大ごみ収集へのキャッシュレス決済導入、さらにデジタルツールを活用した業務DXなどが予定されています。
区役所のデジタル化は、単に便利になるというだけではありません。手続き負担の軽減、窓口混雑の緩和、職員の事務効率向上などを通じて、限られた人員の中で行政サービスの質を維持・向上させていくための重要な基盤です。
5.課題:気になるポイント
ここまで重点施策を見てきましたが、予算を見るときは、良い話だけでなく課題にも目を向けなければなりません。
5-1.ふるさと納税による住民税流出
大きな課題の一つが、ふるさと納税による住民税の流出です。
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練馬区では、当初見込みで約64億円の住民税流出が見込まれています。これは非常に大きな金額で、学校1校の改築費用に相当する規模とも言えます。
区は、この制度について「地方自治の本旨に反する」と批判していますが、現実として出血は止まっていません。
本来、都市部の自治体も住民サービスのために必要な財源を確保しなければならない中で、その財源が継続的に流出していくことは、財政運営にとって大きな重荷です。
5-2.“硬い支出”が増える構造
もう一つの課題は、義務的経費の増加です。
先ほども触れた通り、人件費や扶助費などの「硬い支出」は今後も伸びやすい傾向にあります。高齢化の進展や福祉需要の増加を考えれば、これは避けて通れない面もあります。
だからこそ、今後は一層、事業の優先順位付けが重要になります。
新しいことを始めるには、既存事業の効率化や見直しを進める必要がありますし、同時に、将来の税収増や地域の活力向上につながる成長分野への投資も求められます。
「守るべきものを守りながら、未来のための投資も行う」。このバランスをどう取るかが、今後の区政運営の大きな課題です。
6.まとめ:区民としてのチェックポイント
ここまで、2026年度の練馬区予算について見てきました。
改めて、今回のポイントを整理します。
- 予算規模は過去最大の3,686.8億円となったこと
- 分野別に見ると、福祉・子供・教育が中心となっていること
- ふるさと納税による税流出は引き続き大きな課題であること
その上で、区民として大切なのは、「何にお金を使ったか」だけでなく、「その結果、効果が出ているのか」をしっかり見ることだと思います。
例えば、
この事業で本当に生活は便利になったのか。
現場の課題は改善したのか。
必要な人に必要な支援が届いているのか。
こうした視点で予算を見ていくことが、次の予算をより良いものにしていく力になります。
予算は、行政だけのものではありません。区民の皆さまの暮らしそのものに関わるものです。
だからこそ、数字だけでなく、その中身と効果を一緒に見ていくことが大切です。
今後も、練馬区の予算や施策について、分かりやすくお伝えしてまいります。




