【練馬区】令和4年度決算の審議(財政、教育・子育てなど)

こんにちは。
練馬区議会議員の佐藤力です。

9月21日から10月3日まで行われた令和4年度決算の審議における、佐藤力が行った質疑の概要についてご紹介いたします。

項目

1.練馬区財政全般について
2.小中学校の机・教室のサイズについて
3.学校現場における障害者差別解消法について
4.幼稚園と保育園の格差是正について
5.子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種について
6.妊産婦支援(産後ケア等)について

1.練馬区財政全般について

【佐藤力 発言】
 今回の決算を踏まえた令和4年度の財政運営総括を。

【財政課長 答弁】
 令和4年度当初予算は、コロナ禍のただ中での予算編成に取り組んだ。予算案は、当時策定中の改定アクションプランに掲げる施策を中心に編成。令和3年度当初予算で緊急対策として中止延期した事業についても、改めて優先順位を精査した上で、その多くを予算化した。
 一般会計予算額は当時2,912億円、昨年度比87億円の増、当時としても過去最大規模の予算額。その増加額の多くは、子育て、高齢者・障害者福祉の推進、病床確保などの政策を重視した。また、病院や道路、公園学校など社会資本を形成する事業については、基金と起債を可能な限り活用し、持続可能な財政運営の堅持に努めた。
 その後、コロナ対策に加え、急激な物価上昇への対応に機動的に取り組むために、5度の補正予算を編成した。
 令和4年度の一般会計の歳出決算総額は、経済の正常化が進んだ一方で、コロナ禍による影響が大きい子育て世帯などへの給付金や、物価上昇への対応などに係る経費の増により、令和3年度決算を超え、過去2番目の規模となった。
 歳入面では、特別区税や特別区財政調整交付金などの一般財源が上振れたことから、当初の予定に比べて基金の取り崩しが避けられた。
 現在に至るまで景気は緩やかな回復傾向にあるが、世界経済の情勢や物価の上昇などの影響を受ける懸念があり、先行きは不透明。引き続き、持続可能な財政運営の堅持に努めていく。

【佐藤力 発言】
 新型コロナウイルス対策や物価高対策のために創設された地方創生臨時交付金について、令和4年度の交付額と使途は。

【財政課長 答弁】
 令和4年度の練馬区への地方創生臨時交付金の交付額は、約29億6千万円。このうち、コロナ対策に活用できる分が14億4千万円ほど、物価上昇への対応に活用できる分が15億2千万円ほどという内訳だった。
 コロナ対策分については、コロナ禍の影響を受けた事業者の資金繰りを支援する特別貸付や借換特別貸付、コロナ禍にあって、オンライン学習支援などの環境を整備するG I GAスクール構想の推進などに活用。
 物価上昇対応分については、急激な円安を背景に、食料品などの価格上昇が拡大長期化する中で、真に生活に困窮する区民へのさらなる支援として、区独自の低所得の子育て家庭の児童1人当たり10万円の臨時給付金や、今年度も継続して実施している学校給食への食材料費補助、教育、子育て施設や介護・障害者サービス事業所に対する光熱水費の補助、また事業者の資金繰りを支援する緊急経営支援特別貸付に活用。
 こうした区独自の取組を推進するため、交付された全額を活用した。

【佐藤力 発言】
 財政の構造の弾力性を示す経常収支比率は、令和4年度は81.7%。特別区財政調整交付金や特別区税が好調であったことにより、前年度比3.1ポイント改善。
 しかしながら、適正水準と言われている70%から80%の水準と比較し、若干高く、23区の平均と比較しても5%高い状況にある。
 また、練馬区のふるさと納税による区民税の流出額は、令和4年度は37億5千万円で、区民税に占める割合は5. 6%となっている。区民税という貴重な自主財源が奪われており、また流出額は年々増加傾向にあるなど、影響はますます甚大になってきている。
 区は、このふるさと納税による影響をどのように捉えているのか。

【財政課長 答弁】
 ふるさと納税による特別区民税の減収は、ワンストップ特例制度導入後の平成28年度以降、急激に増加しており、令和4年度の決算では37億5千万円ほど。令和5年度の決算見込みは44億5千万ほどの減収を想定。学校改築で言えばおよそ1校分に相当する規模に達している。
 現在のふるさと納税制度は、受益と負担という税制本来の趣旨を逸脱しており、地方自治の根幹を破壊するものと考えている。練馬区は、特別区長会を通じて、廃止を含めた抜本的な見直しを求めている。

【佐藤力 発言】
 抜本的な見直しを求めることは大事だが、その間にも、ふるさと納税による影響は年々大きくなってきている。これからの先の見えない時代に対して、自立的な財政運営を確立し、持続可能な自治体運営を行っていくためには、財政の弾力性を高めるとともに、自主財源の確保が極めて重要になってくる。
 これまで「稼ぐ力」を求めてきましたが、それと合わせて、これからは「寄附を集める力」を高めることも必要不可欠であると考える。
 墨田区においては、令和4年度のふるさと納税による区民税の流出額は15億8千万円であったのに対して、受入額は10億1千万円となっており、その約8割がすみだ北斎美術館の資料収集や展覧会事業の実施などの運営費に活用することを目的とした、墨田区北斎基金に寄せられている。
 また、先月は、国立科学博物館が標本や資料の収集保管の費用を集めることを目的にクラウドファンディングを実施し、現在までに7億6千万円以上の寄付金が集まっている。
 成り立ちから考えても、文化芸術と寄付は親和性が高い。
 ぜひ、今後、改築予定の区立美術館において、区民の文化芸術活動の推進を図るとともに、ふるさと納税やクラウドファンディングを活用して、数千万円、数億円レベルの高額の寄附金が集められるように戦略を立てて取組んでいくべきであると考えるが、いかがか。

【財政課長 答弁】
 本区は、寄附制度の本来の趣旨にのっとり、返礼品によらず、ふるさとである自治体や地域団体の様々な取組を応援する気持ちを形にするための寄附を促進している。
 区立美術館の再整備においても、今後、整備の進捗に合わせて、どのような方法が考えられるか検討していく。

【佐藤力 発言】
 検討にあたり、専門のコンサルなども活用しながら、前例にとらわれず、大胆な発想で戦略を構築していただきたい。
 これまで財政調整基金は、15年前に起きたリーマンショックの教訓を踏まえて、積立目標を400億に設定し運用してきた。
 しかしながら、近年は新型コロナウイルスも含めて、自然災害が激甚化、頻発化しており、さらには人口減少や少子高齢化物価高などの影響で、今後、予想だにしない未曾有の危機が発生する可能性は十分にあると考える。また、現在は好調な法人税収入によって、増加している財政調整基金なども、いつ減少に転じるか分からない。
 今後の突発的な財政需要に柔軟に対応できるようにするためにも、財政調整基金の目標額を引上げ、さらに、積み増していくことが大事だと考えるが、いかがか。

【財政課長 答弁】
 財政調整基金について、リーマンショックの教訓を下に、財政基盤の強化に向けて、目標を定めた基金の積立てに取組んできた。この結果、令和4年度末の現在高は473億円と、平成25年度末の現在高290億円と比較して、およそ180億円以上増加した。
 一方で、現在のところ景気は緩やかな回復傾向にあると見られているが、経済の先行きは不透明さを増している状況。また、都や区の税収は、そもそも景気の影響を受けやすく、今後も増加傾向が続くかどうかというのは不明なところ。
 目標額400億円だが、こちらはリーマンショックの後、平成21年~平成25年度の5年間における歳入一般財源の減少額を踏まえて設定したもの。あれから10年が経過し、区の一般会計当初予算の規模も、当時と比べて600億円以上拡大している。
 物価の変動なども加味しますと、将来に向けた目標額としてはふさわしくないところもあるのは十分認識している。
 現在策定中の第3次みどりの風吹くまちビジョンや、公共施設等総合管理計画の改定に合わせて、将来の財政負担を試算する予定。その試算結果を踏まえて、改めて必要な目標額を検討していく。

【佐藤力 発言】
 基金を積み増すべきとの発言に相反するが、大胆に基金を活用していくことも重要であると考える。
 現在、日本が直面する少子化問題は、練馬区においても今後、非常に大きな課題として重くのしかかってくる。子供の数が減れば、人口が減り、経済が衰退していくとともに区の歳入も減り、必要な行政サービスを実施するだけの財源を確保できなくなるおそれもある。
 短期的な経済対策や区民生活支援策は、引き続き実施しながら、合わせて、長期的な視点での将来の税収確保に向けた未来への投資として、子育て・教育分野に対して、さらに重点的に予算配分を。

【財政課長 答弁】
 我が国は現在、歴史上経験したことがない少子化という国家的危機に直面している。こうした難局にあって、区としては、多子世帯の経済的負担を軽減することは政策的に有意義と考え、今年度から新たに、学校給食費における多子世帯の負担を軽減する補助事業を開始した。
 少子化が急速に進む中で、子育て・教育分野の政策を充実することは、区としても喫緊の課題であると考え、予算化に踏み切ったところビジョンの中でも、政策の柱の第一に掲げており、最優先に取り組むべき政策の一つだと考えている。
 現在編成中の令和6年度当初予算においても、そうした認識に立ち、編成に取り組んでいく

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2.小中学校の机・教室のサイズについて

【佐藤力 発言】
 令和2年度中に区内の小中学校の児童・生徒全員に対してタブレットPCが配備された。配備完了から2年半が経過しているが、タブレットPCの子供たちへの教育に与える効果をどのように分析しているか。

【教育施策課長 答弁】
 タブレットを活用して、様々な情報を自分で調べること、クラスメイトの意見を共有すること、それらを受けて自分の考えを深めること。教員から一方向で教えるだけではなく、自ら主体的に学び、一緒に、協働的に学ぶことができるということが効果と言える。また、デジタルドリル学習で自分の弱点を補修したり、自分のペースで学ぶことも可能。さらに、デジタル教材を使って、視覚、聴覚への配慮など、障害の特性に応じた学びやすさを提供できるといった点も効果のーつと考える。

【佐藤力 発言】
 令和5年度の全国学力学習状況調査結果によれば、学校に対する調査結果として、タブレットPCを授業でほぼ毎日使っている学校は、都内の小学校では74. 5%、中学校では67. 3%であるのに対して、練馬区の小学校では63.1%、中学校で54. 5%と、10ポイント以上低くなっており、また、全国平均と比べても低い状況にある。
 教育委員会として、この状況をどのように捉えていて、どのように改善を図っていくのか。

【教育施策課長 答弁】
 全国学力学習状況調査結果について、「ほぼ毎日」と回答している割合は、昨年度と比較して小中ともに伸びているが、全国平均はそれ以上に伸びている。また、昨年度と比較すると、「ほぼ毎日」というところが増え、逆に、週3回以上が減り、さらに週1回以上が増えている。つまり、活用している学校と活用が遅れている学校の二極化が進んでいると分析している。
 この状況を改善していかなければならないという観点から、まずは校長会において、区全体の状況とともに、各学校それぞれの状況を個別に周知している。また、学校運営の責任者である校長の意識を変えるために、効果的に活用することを働きかけている。
 さらに、現状の具体的な改善策の一つとして、学校ごとに、この1年間でどの程度レベルを上げていくのか、活用していくのかという活用推進計画を作成し、そして、その計画に基づく進捗管理を学校と教育委員会とともに行っていく。

【佐藤力 発言】
 ICTの活用は、組織だけではなく、教員一人一人の得意、不得意、スキルによって活用度合いは大きく異なっていく。学校ばかりに任せるのではなく、デジタルデータを活用し、著しく活用が低い教員に対しては、個別にてこ入れを図ることが必要ではないか。

【教育施策課長 答弁】
 利用実績とデータ等を確認して、その結果が他の教員と比較して明らかに低い状況であれば、その教員がどのような授業を行っているのかといった点を確認の上、学校とともに対応していく。

【佐藤力 発言】
 保護者の方などから、タブレットPCが故障することも多く、また、代替機も数が限られており、修理が完了するまでタブレットPCなしで過ごさなければいけない状況も発生していると聞いている。
 これまでの故障台数と故障の原因、また、対応方法について伺う。

【教育施策課長 答弁】
 タブレットの故障は、令和4年度は3, 768台。故障内容は、画面が割れたり、本体の外装が割れる、傷つくという破損状況が半分以上を占めている。また、学校で机から落下して破損したといった状況も発生している。
 学校には98校全体で771台の予備機を配備しているが、実際の代替機の提供まで時間を要している。

【佐藤力 発言】
 教科書のサイズは、昔はA5が主流だったが、現在はB5、物によってはA4のものもあるなど、教科書が全体的に大きくなっている。また、併せて、授業においてはタブレットPCも追加されていて、授業中に机の上に出すものが多く、そして大きくなっている。タブレットPCの故障の要因のーつに、置くスペースが少なくなっているというところがあると考えている。
 現在、教室で使われている机のサイズはどのような基準によって決められているのか。

【学務課長 答弁】
 学校で使用している学習机には、旧JIS規格と新JIS規格の2種類ある。一般的に、新JIS規格は、旧JIS企画より、幅、奥行き、それぞれ5センチ程度大きくなっている。
 学校で使用する学習机や椅子などの規格について、ガイドラインを整備し、その基準に沿ったものを整備している。
 学習机については、現在、旧JIS規格の机を配備しているが、このガイドラインを昨年度末に改定を行い、今後の改築校から新JIS規格を配置すると規定を見直した。

【佐藤力 発言】
 机の天板のサイズを大きくすると、現在の教室の大きさでは、収まり切らないおそれもあるのではないかと考える。
 そもそもの教室自体もサイズを大きくする必要があるのではないか。

【教育施策課長 答弁】
 現在、改築校における必要なグレード、設備、適正な施設規模につきまして、標準化を進めている。教室の広さについても、タブレットの1人1台の配布、教科書サイズのA判化など、教育環境の変化に対応するため、現在、63平米を基本としている普通教室を、小学校は64平米、中学校は小学生との体格差を考慮して68平米を基本とすることとしている。

【佐藤力 発言】
 教室のサイズを大きくしなければ新JIS規格の机を導入できないということは理解できるが、教室の机のサイズと学習効率は比例関係にあると考えている。
改築まで、まだまだ時間がかかる学校においても、早期に新JIS規格の教室机の導入を検討されたい。

【学務課長 答弁】
 既存校に新JIS規格を導入する際に、課題は二つあると考える。
 ―つは、教室の広さ。既存校の教室の縦と横の長さによっては、新JIS規格が入らない可能性もある。もう1つは、新JIS規格の机は、旧JIS規格に比べまして、1台当たりの単価が約1.67倍と高くなるというコスト面がある。
 こうした課題もあるが、どのように対応していくのか、学校の意見も踏まえながら、今後、検討していく。

【佐藤力 発言】
 ぜひ前向きに、早期実現に向けて取り組んでいただきたい。

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3.学校現場における障害者差別解消法について

【佐藤力 発言】
 平成28年4月、障害を理由とした不当な差別的取扱いを禁止し、障害のある方から申出があった場合に合理的配慮の提供を行うことなどを規定した障害者差別解消法が施行された。
 学校現場における合理的配慮の提供をどのように考えているのか。

【教育振興部副参事 答弁】
 教育分野における合理的配慮とは、障害のある子供が他の子供と平等に教育を受ける権利を享受し、権利を行使することを確保するための支援や環境整備をすること。そのために、学校の設置者及び学校は、必要かつ適当な個別の調整や配慮をその状況に応じて行うこととされている。
 区立学校では、障害のある児童・生徒本人やその保護者からの意思表明に基づいて、その実施についてでき得る限りの体制を整えるように努め、環境に応じた合理的配慮を提供していると認識している。

【佐藤力 発言】
 障害児童本人やその保護者が、特別支援学級や学校ではなく通常学級を希望した場合、教育委員会としてはどのような対応を行っているのか。

【学務課長 答弁】
 特別な支援が必要な児童に対しては、入学前の集団相談において、児童の発達の状態や保護者の意向を踏まえて、特別支援学級や学校などの就学先の提案を行っている。
 提案と就学先が異なる場合は、入学前に学校と保護者間で、学校において現状行える支援を話し合い、理解をいただいた上で、学校生活支援員を配置するなどの支援を行っている。

【佐藤力 発言】
 受け入れるという判断をするのであれば、できること、できないことは当然あるが、ぜひ当事者の方々に寄り添って、できる方向で取り組んでいただきたい。
 学校生活支援員の役割と、支援員と担任の先生との関係性について伺う。

【教育振興部副参事 答弁】
 学校生活支援員は、小中学校において、障害等のある児童・生徒に対する学校生活上の介助や学習指導上の支援等を行うことを役割としている。
 学級担任は、児童・生徒一人一人の学習や生活の状況を見ながら、学級全体への指導を行っている。
 学校生活支援員は、学級全体の活動の内容や、対象となる児童・生徒の状態に応じて学習活動や生活上必要な支援を行っており、支援員と担任が情報共有を行い、密な連携を図りながら、学級全体、または個別の指導、支援を行う関係にある。

【佐藤力 発言】
 給食の介助について、障害福祉サービスなどにおいては居宅介護などがあるが、提供できる場所が限定されており、教育施設内でのサービス提供は教育機関が行うべきとされている。
 令和元年から、練馬区においては医療的ケアが必要な児童・生徒に対して看護師を派遣する事業も行っているが、食事の介助は医療的ケアではないので活用することもできない。
 支援員がついているので、その方に食べさせてもらうことはできないかと保護者が学校側に相談したが、命の危険のおそれもあるため断られている状況にある。
 支援員ができないのであれば、学校側が看護師を手配することはできないか。

【学務課長 答弁】
 現在、特別な支援が必要な児童に対する支援として、学校生活支援員を配置している。また、導尿や経管栄養などの医療行為を必要とする医療的ケア児に対しては、障害の有無に関わらず看護師を配置している。
 近年、こうした特別な支援を必要とする児童・生徒数が増加傾向にあること、また、障害の重複や、医療行為などの必要な支援も複雑化、多様化してきて、学校生活支援員だけではカバーできない部分も出てきている。
 障害のある子供たちが、安全に、また、安心して学校生活を送れるよう、こうした支援の在り方につきまして、改めて検討する必要があると認識している。

【佐藤力 発言】
 障害者差別解消法が施行されてから7年が経過しているが、現場の対応を見ると、障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供の意識がまだまだ薄いと感じる。
 教育委員会として希望する障害児は通常学級で受け入れるとするのであれば、対応を現場ばかりに任せるのではなく、現場が合理的配慮の提供などを適切にできているのか、定期的に確認をしながら、率先して支援をする必要があるのではないか。
 また、さらには合理的配慮の提供などに関して、対応指針やマニュアルを作成し、校長会で徹底して共有していただきたいが、いかがか。

【教育振興部副参事 答弁】
 特別な支援が必要な児童・生徒を通常学級に受け入れするに当たって、事前に就学相談の状況の共有や必要な人的支援や環境面の配慮等を教育委員会と学校は協議し、保護者に支援の在り方について丁寧に説明するなど、学校と連携して取り組んでいる。
 受入れ後も、適宜、教育委員会からは指導主事等を派遣し、授業観察を行うことや、支援課題を共有検討する校内委員会などに同席するなど、その時々の課題に一緒に取り組んでいる。
 また、合理的配慮の提供に係る各校への理解、啓発について、今年度は、5月、9月の校長対象研修を既に行っている。さらに、10月にも校長研修会を行う予定であり、管理職による合理的配慮の提供に関する理解を深めている。
 研修の内容は、区が作成している障害のある方への接遇マニュアルや、内閣府が障害者差別解消法改正に伴い示した合理的配慮の義務化のリーフレットを使用し、講義形式で行うことや、区内公立学校で生じた実際の事例をテーマに取上げ、対応の在り方の事例をグループワークで検討する等、様々な教材、方法を用いて、定期的に合理的配慮の提供について共有し、理解、啓発を図っている。今後も継続した取組を行っていく。

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4.幼稚園と保育園の格差是正について

【佐藤力 発言】
 保育士の就労継続支援の取組として、平成27年から国の支援制度を活用して、東京都が都内の保育所で働く保育士に対して最大8万2千円の家賃を補助する制度を始めた。
 現在、家賃補助制度を活用している保育所の数や割合、利用者数はどれくらいか。

【教育施策課長 答弁】
 保育従事職員の宿舎借上げ支援事業について、補助対象は、認可保育所、認定こども園、小規模保育、認証保育所、病児・病後児保育などで、1戸当たり月額8万2千円を上限に、8分の7を公費負担、残る事業者の負担が8分の1となるもの。
 令和4年度の実績として、この補助を利用した施設は、247施設中210施設で、利用率でいうと85.0%、延べ人数は施設全体で1, 554人となっている。

【佐藤力 発言】
 保育士が勤務している施設として、保育所以外に、練馬区内では練馬こども園や認定こども園の預かり保育の時間帯がある。
 そこで働いている保育士に対しては家賃補助制度が使えるのか。

【学務課長 答弁】
 認定こども園については対象だが、幼稚園である練馬こども園については対象外となっている。

【佐藤力 発言】
 同じ保育士であっても、認定こども園は使えて、練馬こども園は使えないということ。
 現在、練馬区においては3年連続で待機児童ゼロを達成しているが、それまでは多くの待機児童が発生しており、練馬区の大きな課題の一つだった。そういった中、練馬区では、平成27年度から練馬区独自の幼保一元化施設として練馬こども園を創設。新たな子供たちの受け皿として、利用している保護者からも評判が高く、待機児童解消にも大きく貢献している。
 実際、今年5月時点での練馬こども園を含む幼稚園に通う園児数は7,103人で、3歳から5歳の子どもたちの42.8%を占めている。ちなみに、保育所は55.6%なので、練馬こども園や幼稚園の重要性がよく分かる。
 来年度から新規に2園増えるなど、着実に園数が増加しており、区内の私立幼稚園38園のうち24園が練馬こども園となっている。
 まだ練馬こども園になっていない幼稚園が14園あるが、その理由は。

【学務課長 答弁】
 練馬こども園を始めるに当たっての改修や、人材の確保といった事前の準備、また実施後の安定した園運営をどのようにしていくかというものを園の中でしっかりと検討する必要があるというところが原因となっている。

【佐藤力 発言】
 これまで練馬区として、練馬こども園の拡充に向けて、どのようなことに取り組んできたのか。

【教育施策課長 答弁】
 練馬こども園の拡充に向けて、私立幼稚園各園に個別に説明に伺うとともに、私立幼稚園を対象とした補助事業等説明会などの機会を通じまして周知をしている。また、園から個別に相談いただいた際は、認定要件や補助制度などについて説明し、園ごとの状況を踏まえまして、段階的に預かり保育の体制を整えるなどのアドバイスをしている。

【佐藤力 発言】
 いろいろな課題がある中で、課題の一つとして人材確保がある。昨今の人材確保は、どの業界においても大きな課題で、特に、保育士の獲得競争は熾烈を極めている。
 そのような中において、保育所では家賃補助があり、その一方で、練馬こども園や幼稚園では家賃補助がない。ただでさえ厳しい状況の中で、練馬こども園や幼稚園での保育士や幼稚園教諭の確保が困難になる。
 個別に相談に乗ってアドバイスを行っていくことは非常に重要なことだが、練馬こども園の園数の向上のためにも、練馬こども園の保育所ともに、屋台骨でもある幼稚園の幼稚園教諭に対しても、練馬区独自事業として家賃補助を実施されたい。

【学務課長 答弁】
 幼保間の格差解消は、本来であれば、国の責任で実施するもの。現在、補助対象外となっている幼稚園に対しても、補助対象とする旨を国に働きかけていく。

【佐藤力 発言】
 これまで保育所とともに子供たちの預け先として待機児童解消にも貢献してきた練馬こども園や幼稚園においては、先ほどの家賃補助だけではなく、給食費や預かり保育の費用などにおいてもサービス拡充から取り残されている。幼保間の格差が広がり、保育園と幼稚園の健全な競争ができていない状況にある。
 幼保間の格差においては、要因をつくっている都や国が対応すべきという意見においては賛同するものの、対応を待っていては、少子化の影響も相まって幼稚園自体も経営が非常に苦しくなってくる園も増えていくのではないかと危惧している。
 実際、ここ5年間の3歳~5歳の子供の数の年平均成長率はマイナス2.0%で推移していますが、幼稚園の園児数はそれを上回るマイナス6.6%で減少している。
 区としては、こういった状況をどのように捉えているか。また、効果的な支援の実施が必要であると考えるが、いかがか。

【学務課長 答弁】
 昭和50年に区立幼稚園を開設したが、それよりも以前から練馬区の幼児教育は私立幼稚園が牽引してきたものと認識。かつて、昭和50年代には50園を超える私立幼稚園があったが、園児数の減少等によりまして、現在の38園まで減少したということは、区としても憂慮している。
 今後、急激に進展する少子化においては、幼保一元化が大きなテーマになり、練馬こども園を担う私立幼稚園の役割は、さらに重要になると考えている。
 引き続き、私立幼稚園の協力の下、練馬こども園化を推進するとともに、必要な支援の在り方についてしっかりと検討していく。

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5.子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種について

【佐藤力 発言】
 子宮頸がん予防ワクチンキャッチアップ接種等委託費の支出済額は約6, 500万円で、接種人数は3, 742人となっている。また、不用額を見ると、委託料の残が 1億7,100万円以上となっている。
 予算を組んだ時点の対象者からの申請率はどのように想定していたのか。なぜ想定を大幅に下回る申請率となってしまったのか。

【保健予防課長 答弁】
 キャッチアップ接種の対象者約3万人のうち、40%がキャッチアップ接種対象期間、令和4年から令和7年の3年間で3回接種すると想定して、初年度は15%を見込んで予算計上していたが、実施数3, 700回余と実施率が想定を下回る4.2%であった。
 全国的にも同様の傾向で、国立がん研究センターによると、子宮頸がんワクチンの接種意欲向上の妨げとして、積極的な勧奨の差し控えの発端となった接種後の症状に関する報道と、それに続く、8年間にわたる積極的な勧奨の差し控えの影響があると考えられる。

【佐藤力 発言】
 子宮頸がんは、女性のかかるがんの中で2番目に多いがんとなっており、厚生労働省によると、日本では毎年約1万1千人の方が子宮頸がんに罹患し、約2, 900人の方が命を落としている。
 確かに、接種後に接種部に痛みや腫れが出るなど重篤な症状が生じたと医師や企業が判断した人の割合は、接種1万人当たり5人~7人程度いる。
 しかしながら、子宮頸がんになってしまう方は1万人当たり132人、亡くなる方は1万人当たり34人もいる。9価のワクチンを接種すれば子宮頸がんの原因を80%~90%防ぐことができると言われている。つまり、接種をすれば多くの命を救うことができる。国の専門家会議においても、ワクチンの安全性については特段の懸念がないと認められることや、また、接種による有効性が副反応リスクを明らかに上回るということも明言している。
 こういった事実がある中において、エビデンスに基づかず、ワクチン接種は危険だからやめるべきといった不安をあおってきた方々やマスコミは、その風評被害によってワクチンを接種できず子宮頸がんになり、また亡くなった方に対してどう責任をとるつもりなのか。しっかりとその点を考えてもらいたい。
 練馬区において、これからも、引き続き、しっかりとワクチンの安全|生、有用性を広報し、安心して接種できる環境づくりに尽力していただきたい。
 令和4年4月より積極的勧奨が再開され、積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方に対して予防接種するキャッチアップ接種が始まった。また、今年4月からは、より効果の高い9価のワクチン、シルガード9が定期接種とキャッチアップ接種の対象となった。
 キャッチアップ接種には、自費で接種した方に対して費用を払い戻す償還払いも行っている。しかしながら、対象となるのは、定期接種の対象となっていた2価と4価のワクチンだけとなっている。
 積極的勧奨がされていない期間においても、接種の重要性を考え、医師に相談しながら、非常に悩みながらも効果の高い9価のワクチンを選択し、3回接種で約8~10万円の支払いを行った方々もいる。
 ぜひ、9価のワクチンが定期接種化された現在において、令和3年度以前に接種した方もさかのぼって償還払いの対象に加えていただきたい。

【保健予防課長 答弁】
 9価のワクチンについては、本年4月1日から定期接種の対象となったことにより、区でも4月1日以降の接種に対しては償還払いの対象としている。

【佐藤力 発言】
 男性のHPVワクチンについて、昨年から厚生労働省でも議論がされているし、先月、東京都も接種支援を検討していくと明らかにした。制度ができ次第、速やかに練馬区においても実施できるように要望する。

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6.妊産婦支援(産後ケア等)について

【佐藤力 発言】
 平成30年に国立成育医療研究センターなどのチームが行った調査によれば、妊産婦の死亡原因で最も多いのが自殺で、その中でも産後の自殺が9割となっており、また、約半数が35歳以上、65%が初産とのこと。そういった状況も踏まえて、国では産後ケア事業に力を入れている。
 うつになってしまう方は、自分は大丈夫と思い込み、頑張り過ぎてしまう傾向にある。特に産後は、出産による体調面の変化と、慣れない赤ちゃんの世話でいっぱいいっぱいの状況になっている。そういったときにおいて、客観的に状態を見てあげる存在が必要となる。
 そのために大事になるのが産婦健康診査。国においても、これに対する助成制度も創設しているので、ぜひ練馬区でも早期実現を。

【健康推進課長 答弁】
 産婦健診の助成の実施については、出産した医療機関での受診が望ましいところであり、区外で出産する方も少なくないという現状から、23区統一の方式での実施が現実的であると考えている。現在、特別区の担当課長会で情報共有しつつ、検討している。

【佐藤力 発言】
 今年度より国は、利用者負担軽減のために、これまでの助成金に加えて1回当たり2, 500円の利用料を減額する制度を創設した。これを利用すれば、現在3千円で利用できるデイケアであれば、500円のワンコインとなり、もっと気軽に利用できるようになる。
 ぜひ練馬区でも利用者負担の軽減を図っていただきたい。

【健康推進課長 答弁】
 産後ケアの利用者負担額の軽減については、国が、全ての方が産後ケアを利用できるよう、または利用しやすくするとの観点で設けられたものだが、利用のニーズの高まりを考慮し、体制を検討する必要があると考えている。
 さらなる施設の拡充については利用状況を踏まえて検討してまいるが、特に支援が必要な方も含めた全ての方を産後ケアの利用につなげられるよう、実施施設の拡充の検討と併せて、利用者負担額についても検討していく。

【佐藤力 発言】
 ニーズが増えていくことは予想されるので、課題となるのは施設数かと思う。現在、練馬区の産後ケア事業ができる病院等医療機関は7施設しかない。
 練馬区の産後ケア事業の実施施設のリストに掲載のない区内の医療機関においても、独自に産後ケア事業を実施している医療機関もある。また、既に実施の機関においても、まだまだ受入れ枠を拡大できる医院もある。
 ぜひ、そういった区内及び周辺の助産所や医療機関に対して、積極的な働きかけを要望する。
また併せて、練馬区の産後ケア事業受託施設は、デイケア、またはショートステイができる施設でなければならないという規定がある。今後、ニーズの拡大と合わせて多様化していくと考えられるので、現在は受託することができないアウトリーチのみのところも委託の対象に加えていただきたい。

【健康推進課長 答弁】
 実施施設の拡充については、区内及び周辺の近隣自治体の助産所、産科医療機関などの利用状況も含めて検討していく。
 また、産後ケアの対象でありますが、現在、訪問のみの場合は産後ケア事業の委託を行っていない。これは、子育てスタート応援券で産後ケア訪問と同様の助産師ケアを行っていることや、ショートステイ、デイケアといったニーズの高い事業と組合わせて実施していただきたいといった考えから、事業開始当初から訪問のみの委託は実施していない。
 今後、利用状況や利用者ニーズ、委託事業者や助産師会の御意見も踏まえて、改めて実施状況等を確認していく。

【佐藤力 発言】
 産後ケア事業以外にも、大事な事業として、生後4か月の乳児がいる全世帯に対して訪問する「こんにちは赤ちゃん訪問」がある。
 この事業は区内の助産師に委託しているが、対象者の自宅に訪問して、いろいろな相談に乗って、練馬区の行政サービスも説明するなど、1人で行うには盛りだくさんの仕事となっている。
 この事業の委託料は6, 300円で8年間据え置かれている状況。昨今の人件費や物価の高騰や、また本事業の重要性を鑑みて、ぜひ委託料の増額を。

【健康推進課長 答弁】
 委託料の単価は、平成26年と平成27年度に、他団体の事業の実施方法や委託料を参考に増額した。練馬区と同様の実施方法で行っている他団体の状況も参考にして、委託料の金額を検討していく。

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