こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。
さて、今回のテーマは、『【練馬区】幼保間格差により幼稚園は厳しい状況に。』についてです。
● 幼保間格差
現在、練馬区では、3年連続で保育所の待機児童ゼロを達成していますが、それまでは、多くの待機児童が発生しており、練馬区の大きな課題の一つでした。
この課題解消に向け、練馬区では新たな子供たちの受け皿として、練馬区独自の幼保一元化施設「練馬こども園」が創設され、待機児童解消に大きく貢献しています。
この「練馬こども園」をご存じのない方もいらっしゃると思いますが、平成27年度から練馬区独自の制度として始まったものになります。
夏休みや冬、春休みも含め一年間通して、9時間から11時間の預かり保育や、0~2歳児の預かり保育を実施する私立幼稚園を「練馬こども園」として認定しています。
来年度から新規に2園増え、区内の私立幼稚園38園のうち、24園が練馬こども園となっています。
この練馬こども園は、幼稚園ごとのこだわりの幼児教育を受けながら、保育園と同様に、長時間、子供を預けることができる施設となっており、お子さんを通わせている保護者の方々からも高い評価を得ています。
今年5月時点における、練馬こども園を含む幼稚園に通う園児数は7,103人で、3歳から5歳の子供たちの42.8%を占めています。
ちなみに、保育所は55.6%ですので、子供たちの受け皿として、役割の大きさがよく分かると思います。
これまで、特に、東京都や国において、待機児童対策を御旗として、幼児教育・保育の無償化が図られるとともに、保育所に対して様々な補助が拡充されてきました。
そのおかげもあり、大きな課題であった待機児童を解消することができたと思います。
しかしながらその一方で、これまで保育所とともに子供たちの預け先として、待機児童解消にも貢献してきた練馬こども園や幼稚園においては、サービス拡充から取り残され、幼稚園と保育園の間において格差が拡がり、保育園と幼稚園の健全な競争ができていない状況が生み出されてしまっています。
この幼保間格差の事例をいくつか紹介しますと、まず、保育士に対する家賃補助制度があります。
これは、保育士の就労継続支援の取り組みとして、平成27年から、国の支援制度を活用して、東京都が、都内の保育所で働く保育士に対して最大8万2,000円の家賃を補助するというものです。
この制度を利用している園は、247園中210園で、利用率は85.0%となっています。
この制度の対象は、保育園で働く保育士のみとなっており、保育園と同じように預かり保育を行っている練馬こども園で働く保育士や、幼稚園教諭は対象外となっています。
そのため、当然ながら、より処遇のよい保育園に人が流れている傾向にあり、ただでさえ、保育園・幼稚園での人材確保が厳しい中において、幼稚園ではさらに厳しさが増しています。
他にも、給食費の問題があります。
幼児教育・保育の無償化により、保育園での給食費も無償になった一方で、幼稚園においては、これまで通りとなっています。
この課題に対して、これまで訴え続け、今年度ようやく、第2子以降の副食費が無償化されましたが、まだまだ道半ばの状況です。
確かに、保育園では給食が必ずセットでありますが、幼稚園は園によって、給食があるところもあれば、お弁当を持参するところもあり、一律で対応することが難しい状況にあります。
しかしながら、当然、家でお弁当を作る場合であっても、タダというわけではなく、食材費や手間暇などのコストがかかっています。
保育園同様、幼稚園の給食費においても無償化すべきであると考えています。
その他にも、預かり保育の費用などといった格差があります。
この幼保間格差に対して、練馬区も課題認識はあるものの、対応はその要因をつくっている都や国が対応すべきとしています。
その意見は最もだと思いますが、しかしながら、その対応を待っていては、少子化の影響も相まって、経営が非常に厳しくなってくる幼稚園も増えてくのではと危惧しています。
実際、ここ5年間の3歳から5歳の子供の数の年平均成長率は-2.0%で推移していますが、幼稚園の園児数はそれを上回る-6.6%で減少しています。
つまり、少子化の影響だけでなく、幼稚園から保育園に園児が流れてしまっていることが顕著に表れています。
私は、現在の少子化よる人口減少社会において、いかに国力を維持・向上させていくかという観点で考えると、教育の質を向上させ、国民一人一人の能力やパフォーマンスをさらに高めていくことが必要不可欠であると考えています。
その中において、幼児教育が持つ重要性は今後ますます高まっていきます。
これからもしっかりと、この幼保間格差是正に向けて取組みながら、子供たちの教育環境のさらなる拡充に努めてまいります。