おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。
今回は、ガソリンにかかる「暫定税率」について、わかりやすく解説します。
目次
1.ガソリン暫定税率ってなに?
ガソリンには1リットルあたり53.8円の税金がかかっています。そのうち、25.1円分が「暫定税率」と呼ばれる上乗せ部分です。
暫定税率は1974年、オイルショックと道路整備財源不足を背景に「一時的措置」として導入されました。しかし、その後も何度も延長され、事実上恒久化してきました。
2009年には「暫定税率は廃止」とされた一方で、実際は同額の税率が『当分の間税率』として残された経緯があります。
2.なぜ導入され、なぜ今も続いているのか?
暫定税率の主な目的は次の2つです。

- 道路整備の財源確保
- 省エネ・環境対策
もともとガソリン税は「道路特定財源」でしたが、現在は一般財源化され、道路整備以外にも幅広く使われています。
また、ガソリン価格を高く維持することで、消費を抑え環境負荷を軽減する狙いもあります。
3.各政党の立場と最近の動き
近年、暫定税率廃止への動きが加速しています。各政党の立場は以下の通りです。

- 自民党・公明党(与党):将来的な廃止には合意。ただし代替財源の確保が前提で、実施時期は慎重。2025年からガソリン1Lあたり10円の補助政策を開始。
- 立憲民主党・国民民主党・日本維新の会・共産党(野党):2025年11月1日の廃止法案を提出するなど、早期実現を目指して連携。地方や生活者支援の観点からガソリン減税を強く主張。
与野党とも廃止の方向性では一致していますが、課題は「減収分をどう穴埋めするか」にあります。
4.廃止したらどうなる?
暫定税率を廃止すると、ガソリンは1リットルあたり約25円安くなります。
試算によれば、2人以上世帯で年間約9,000円の節約効果があります。
また、価格低下による効果として以下が期待されます。

- 物流コストの削減による物価上昇抑制
- 観光やドライブなど地方経済の活性化
- 家計の可処分所得アップ
一方で、税収は1兆円以上減少する可能性があり、道路整備費や地方財源、環境政策などに影響する懸念があります。
5.維持と廃止、それぞれのメリットとデメリット

✅ 維持のメリット
- 安定した財源を確保できる
- 環境対策にプラス
- 税制が変わらず混乱が少ない
❌ 維持のデメリット
- ガソリン価格が高止まりし生活者負担が重い
- 「暫定なのに恒久化」という不信感
- 消費税との「二重課税」が問題視される

✅ 廃止のメリット
- 家計支援に直結する
- 地方や観光業の活性化
- 税制の透明性・公平性向上
❌ 廃止のデメリット
- 税収減による公共事業・財政運営への悪影響
- 環境政策との整合性に課題
- 制度移行・対応コストが発生
このように、暫定税率の扱いには双方に利点と課題があり、慎重で丁寧な議論と実行計画が求められます。
