小額随意契約とは?最新改正でどう変わった?わかりやすく解説!

おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。

今回は、公共契約制度の中でもあまり知られていない「小額随意契約」について解説します。
東京都が令和7年4月から改正を予定しているこの制度。成り立ちや改正内容、練馬区での対応状況まで、分かりやすく整理しました。


目次

  1. 小額随意契約とは?
  2. 制度の歴史
  3. 今回の改正内容
  4. 改正の影響
  5. まとめ

1.小額随意契約とは?

国や自治体の契約は「競争入札」が原則です。
しかし、金額が少額の場合には、入札を省略して特定の相手と契約できる「随意契約」が認められています。
この仕組みを「小額随意契約(少額随契)」と呼びます。

目的は、入札事務の負担を減らし、効率的に契約を進めることです。


2.制度の歴史

国の制度

  • 1947年:工事の基準額は7万円以下でスタート。
  • 1974年:物価上昇に伴い「工事=250万円以下」に引き上げ。
  • 以降、約50年間据え置き。

地方自治体

  • 1947年の地方自治法制定時:条例で随意契約の対象を定められる仕組み。
  • 1963年改正:政令で随意契約の事由を限定列挙。
  • 1974年:地方自治体に少額随契が導入(30万円以下)。
  • 1982年:国と同じ契約類型区分が導入。
    都道府県・指定都市=国と同額、市町村=その2分の1(5万円単位で切上げ)。

3.今回の改正内容

長年見直しが行われませんでしたが、昨今の物価高騰を受け、令和7年4月から基準額が約1.6倍に引き上げられます。
練馬区も含む市町村の新しい基準額は以下のとおりです。

契約類型従来基準額改正後基準額
工事・製造130万円200万円
財産の買入れ80万円150万円
物件の借入れ40万円80万円
財産の売払い30万円50万円
物件の貸付け30万円30万円(据え置き)
その他の契約50万円100万円

4.改正の影響

国の契約データ(令和5年度)を基に試算すると、次のような変化が見込まれています。

  • 一般競争契約:件数ベースで約10%(約10万件)減少 → 6.8%に。
  • 金額ベースでは0.4%(約600億円)減少 → 33.1%に。
  • 少額随契:件数で76.0%を占める一方、金額ベースでは0.8%にとどまる。

つまり、金額面では大きな影響はありませんが、契約事務に要する作業時間が短縮され、行政コスト削減が期待されています。
一方で「競争による価格低減効果が弱まる」という懸念もあり、財務省は次のような運用を求めています。

  • 複数見積りを取ること。
  • 不適切な分割契約を避けること。

練馬区での対応

国では2024年4月から施行済みですが、練馬区では規則改正やシステム改修が必要なため、2025年4月からの施行を目指して準備中です。


5.まとめ

  • 小額随意契約は、契約事務の効率化を目的とした制度。
  • 令和7年4月から基準額が約1.6倍に引き上げ。
  • 効率化と公平性のバランスが課題。
  • 練馬区でも施行に向け準備が進行中。

調達事務の効率化が進む一方で、透明性の確保がこれまで以上に重要です。
区議会の役割として、制度が適切に運用されているか、しっかりとチェックしてまいります。


最後に

今回の解説についてご意見やご感想、今後取り上げてほしいテーマがありましたら、ぜひコメント欄でお聞かせください。
また、私の公式LINEでもご相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。

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