こんにちは。佐藤力です。
先日行ってきた視察についてお書きいたします。
2日目にお伺いしたのは、北九州市子ども総合センターです。
1日目の久留米市議会(議会のICT化)については、以下をご覧ください。
子ども総合センターは、「児童相談所」と「少年相談センター」、「教育相談室」の3組織を統合し、保健・福祉・教育の側面から総合的専門的支援体制を目指して開設されました。
一時相談所や警察の窓口も併設しています。
北九州市の児相に寄せられる相談件数は、児童人口が減少しているのにかかわらず、年々増加傾向にあります。
平成30年は、児童人口15万人に対して相談件数7,000件。
20人に1人が相談している計算となります。
目黒区の事件など近年多発する痛ましい児童虐待事件を重く受け止め、国も児童虐待防止に力を入れています。
児童相談所の職員数(児童福祉司)について、国の基準が引き上げられ、北九州市ではこれまで25名だったものが、令和5年までに35名に増員することとしています。
今回の視察を通じて感じたことは、現場に蔓延している“疲弊感”です。
確かに、増え続ける相談件数に対応するためには、職員数の増加が必要不可欠です。
しかし、児童相談所の職員は、所属する自治体の職員ではありますが、他部署と大きく仕事内容が異なり、専門性および精神的にも強くなければ務まりません。
適材を探し、人材育成していくには時間がかかります。
児相職員は、親から子を引きはがす強力な権限を持っています。
その分、権限を発動する時の重責や対峙する親の対応など非常に強いストレスがかかります。
また、24時間365日、担当する児童を心配し、緊急対応なども迫られます。
しかし、児相職員にはメンタルケアなど特段のフォローアップの仕組みは、いまだ構築されていません。
私の知人に、児童相談所職員になりたくて、公務員になり、現在、児童相談所の職員をしている方がいます。
精神的に強い方ではありますが、「オンオフの切り替えをしっかり行っていなければ精神的にまいってしまう」と言っていました。
児童虐待に対して、関係機関の連携や体制強化がよく議論に上がりますが、それと合わせて、職員の育成、そして、働きやすい環境を整えることが急務であると感じました。
さらに、児童虐待をなくすために、虐待に対応することはもちろんのこと、未然に防ぐための対策が必要であると考えています。
そのうえで、練馬区は児童相談所を設置しない方針を示していますが、今後はより一層、子ども家庭支援センターの役割が重要になっていくと考えています。
今回の視察を児童福祉行政に活かしてまいります。