こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。
さて、今回のテーマは、「ヤングケアラー」についてです。
●ヤングケアラー
さて、そもそもヤングケアラーという言葉をご存知でしょうか。
ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを、日常的に行っている子供のことを言います。
『家事や家族の世話など家の手伝いをすることは当たり前でしょう』と思う方もいると思います。
私もそう思いますし、手伝いを通して学ぶことも多いと考えるため、私の子供たちにも積極的にやってもらっています。
では、何が問題かというと、家の手伝いの責任や負担の重さにより、勉強や部活をやる時間や、友人と遊ぶ時間など、同世代の子供たちが当たり前に享受している『子供としての時間』が十分に取れず、学業や友人関係、将来などに影響が出てしまうことがあります。
また、その生活が“当たり前”で、自身が「ヤングケアラー」という認識がなく、また、家庭内で起きているため、これまで実態を正確に把握することができていませんでした。
今回、練馬区では独自の調査として、区立学校に通うすべての小学6年生と中学2年生を対象に『ヤングケアラー実態調査』を実施しました。
また、学校の先生や民生・児童委員などに対しても調査を行いました。
子供たちへの調査によると、『家族の世話をしている』と回答した児童・生徒は小6で7.8%、中2で6.6%でした。
そのうち、世話の時間が長い子供たちを『ヤングケアラーの可能性が高い児童・生徒』とし、その割合は、小6が1.6%、中2で1.5%でした。
このような子供たちは、睡眠時間や学校外での学習時間、自由に過ごせる時間は他の子供たちとは大きな差はなかったものの、朝食を食べている割合や生活満足度においては、他の子供たちより低い傾向にありました。
また、学校の先生への調査によると、そもそもヤングケアラーを知らない先生が3割近くいました。
さらに、『ヤングケアラーと思われる子供を把握している』と答えた先生は、小学校で9.8%、中学校で23.8%いましたが、そのうちの約3割は『忙しくて時間が取れない』などの理由で支援を行っていませんでした。
ヤングケアラーの問題は、本人の受け止め方や家庭環境などによっても影響度合いが異なり、対応が非常に難しい問題です。
しかしながら、本人が気づかない中で、ヤングケアラーとして、学業や生活面に影響を及ぼしているのであれば、周囲でしっかりサポートをしてあげる必要があります。
まずは、ヤングケアラーの子供を把握することが重要です。
家庭外で子供たちと接する機会が一番多い学校の先生が気づきやすいと思いますので、先生たちのヤングケアラーに対する理解をさらに深めていくことが重要であると考えています。
さらに、先生だけでは対応が困難ですので、練馬区の福祉や教育などのさまざまな分野において複合的に支援できる体制を構築することが必要です。
また、合わせて、このような問題は、結果が出るまでに時間がかかるため、有効な施策を適切に提供できるよう、ヤングケアラーの可能性が高い子供たちに対しては、適切な支援を行うとともに、追跡調査も行いながら、施策のさらなる充実に努めることが重要です。
まだまだヤングケアラーに対する支援は道半ばでありますが、今回の調査をスタートとして、すべても子供たちが健やかで、子供らしく生活できる社会環境づくりに、引き続き、尽力してまいります。
❏ヤングケアラー実態調査(練馬区)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kyoiku/gakko/kyoikucenter/oshirase/youngcarertyousa.html
❏ヤングケアラーについて
https://www.mhlw.go.jp/young-carer/