こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。
さて、今回のテーマは、『子宮頸がんワクチン』についてです。
● 子宮頸がんワクチン
10月に開催された練馬区議会の決算特別委員会において、「子宮頸がんワクチンは危険だから、積極的勧奨を止めるように」といった旨の発言をした議員がいました。
子宮頸がんワクチンは平成25年4月に定期接種化されましたが、接種した女子中高生の中に重篤な副反応が出た方がいたため、社会的に接種を中止すべきという流れとなり、同年6月から積極的勧奨が一時的に取りやめとなりました。
その後、国内外での事例や研究などが進められ、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、ワクチン接種の有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが示されたため、令和4年4月から積極的勧奨が再開されました。
また、積極的勧奨を控えていた間に、接種対象となり、接種機会を逃してしまった方を対象にしたキャッチアップ接種が行われています。
練馬区におけるキャッチアップ接種の対象者数は約3万人いますが、昨年度の実施回数は3, 700回程度と、全体の4.2%しかありませんでした。
この傾向は全国的に同様の状況となっています。
国立がん研究センターによると、子宮頸がんワクチンの接種意欲向上の妨げ要因となっているものとして、積極的な勧奨の差し控えの発端となった接種後の症状に関する報道と、それに続く、8年間にわたる積極的な勧奨の差し控えの影響が考えられるとしています。
子宮頸がんは、女性のかかるがんの中で2番目に多いがんとなっており、厚生労働省によると、日本では毎年約1万1千人の方が子宮頸がんに罹患し、約2, 900人の方が命を落としています。
確かに、接種後に接種部に痛みや腫れが出るなど重篤な症状が生じたと医師や企業が判断した人の割合は、接種1万人当たり5人~7人程度います。
しかしながら、子宮頸がんになってしまう方は1万人当たり132人、亡くなる方は1万人当たり34人もいます。
9価のワクチンを接種すれば子宮頸がんの原因を80%~90%防ぐことができると言われています。
つまり、接種をすれば多くの命を救うことができます。
こういった事実がある中において、エビデンスに基づかず、ワクチン接種は危険だからやめるべきといった不安をあおってきた方々やマスコミは、その風評被害によってワクチンを接種できず子宮頸がんになり、また亡くなった方に対してどう責任をとるつもりなのか。
今なお、そのように発言している方々は、自分の言葉の重みを考えてもらいたいと思っています。
この子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスは、女性特有のものではなく、子宮頸がん以外にも、肛門がん、陰茎(いんけい)がん、中咽頭(ちゅういんとう)がんにも関係しており、男性にも感染します。
また、がんだけではなく、尖圭(せんけい)コンジローマという男女共通の性感染症を引き起こす原因にもなっています。
昨年から厚生労働省でも、男性の子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種について、議論がされています。
また、現在、東京都において、男性のHPVワクチン接種の実施支援が検討されています。
支援制度ができ次第、速やかに練馬区においても実施できるよう、検討・準備をするよう練馬区に求めています。
引き続き、安心して予防接種ができる環境整備に取り組んでまいります。