SNS時代の選挙運動と公職選挙法の課題

おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。

今回は、東京都知事選をめぐる石丸伸二さん・兵庫県の斎藤元彦知事の選挙運動に関する問題を通じて、公職選挙法とSNS時代の選挙運動について考えてみたいと思います。

何が問題になっているのか?

2024年の東京都知事選に立候補した石丸伸二さんが、選挙期間中に動画配信業者に約100万円を支払ったという問題が浮上しました。

当初、石丸陣営は民間業者に対し有償で配信業務を依頼しましたが、公職選挙法違反の懸念から正式に依頼をキャンセル。しかし、実際の配信ではキャンセルした業者のスタッフが「ボランティア」として配信を行い、結果として業者には当初の見積額とほぼ同額の97万7350円が「キャンセル料」として支払われました。

この支払いが実質的な報酬と見なされれば、公職選挙法違反(買収)に問われる可能性があります。実際、昨年の兵庫県知事選でも同様の問題が発生しており、SNS運用業者への報酬支払いが違反ではないかとして刑事告発されています。

公職選挙法とは?何が問題なのか?

公職選挙法は、選挙の公平性を守るために厳格なルールを定めています。特に、選挙運動員への金銭的報酬の支払いは制限されており、次のような規制があります。

  • 選挙運動員に法定額以上の報酬を支払う → 違反(運転手やウグイス嬢など一部例外を除く)
  • 選挙期間中の広告出稿 → 違反(選挙期間外はOK)
  • SNS運用業者への報酬支払い → 違反の可能性あり(選挙運動と見なされる場合)

選挙運動とは、特定の候補者を当選させるための行為を指し、それに該当するかどうかが違法性の判断基準となります。今回の石丸さんのケースは、SNS時代特有のグレーゾーンが浮き彫りになったと言えるでしょう。

石丸さん・斎藤知事の言い分

石丸さんは「法令違反のおそれがある」と認め、事実関係を整理するとしています。一方で「悪意はなかった」と説明し、収支報告書の修正を検討中です。

兵庫県知事の斎藤元彦氏も「公選法違反の認識はない」としており、公職選挙法の解釈の難しさがうかがえます。

公職選挙法、時代遅れでは?

ネット選挙が解禁されたのは2013年ですが、SNSが主流となった現在、公職選挙法とのズレが目立っています。

  • 政治活動と選挙運動の線引きが曖昧(例:「区議会議員選挙に立候補します」は選挙運動と見なされるためNG)
  • SNS活用のルールが不明確(例:選挙期間中のYouTubeライブ配信はボランティアならOKだが、機材代や手当を払うとグレー)
  • 法の解釈が警察や検察の裁量に依存(選挙管理委員会は「グレー」としか答えず、最終判断は警察次第)

現行の公職選挙法は、SNSを活用した選挙運動の実態に追いついていないのが現状です。

SNS選挙、どうするべき?

SNSは選挙運動において重要なツールです。特に知事選や国政選挙では、SNSを活用しないと当選が難しいほど影響力を持っています。しかし、

  • 「お金を払ったら違反」
  • 「無償だとクオリティが低下」

というジレンマがあり、候補者にとって大きな課題です。

必要なのは、SNSを中立・公平に使えるルール作りです。規制ではなく、明確なガイドラインを整備し、誰もが適正にSNSを活用できる環境を整えることが重要です。

今後の選挙運動、どう変える?

公職選挙法の目的の一つは、選挙にかかる費用を抑制することですが、現実と乖離しすぎています。その結果、

  • グレーゾーンが拡大し、違反疑惑が生じやすい
  • 「やったもん勝ち」か「過度に慎重」になる二極化

といった問題が発生しています。

解決策の一つとして、

  • 年間の選挙運動費用の上限を設定し、その範囲内で自由に活動できる仕組みを導入

することが考えられます。これにより、透明性を確保しつつ、公平な競争が可能になります。

いずれにせよ、公職選挙法は改正が必要です。時代に合った自由で公正な選挙を実現するために、今こそ議論を深めるべきです。

皆さんは「SNS選挙のあり方」についてどう考えますか?ぜひ意見を聞かせてください!

僕と一緒に「練馬の力」を伸ばしませんか?

練馬の力サポーターズクラブ