おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。
今回は、いつ発生してもおかしくないとされる南海トラフ地震について、3つのポイントから解説していきます。
1. 南海トラフ地震とは何か?
まずは、「南海トラフ地震」とは何かを、よく耳にする首都直下地震との違いも交えながらご紹介します。

首都直下地震の特徴
首都直下地震は、首都の直下を震源とする内陸型地震で、主に「揺れ」による被害が想定されています。震源が近いため、緊急地震速報が間に合わない可能性もあり、突発的に大きな縦揺れが発生すると予測されています。
また、津波の心配は少ないものの、建物の密集する都心部では火災が広がるリスクが非常に高いです。
- 発生確率:30年以内に約70%
- 想定される被災範囲:茨城・埼玉・千葉・東京・神奈川・静岡の6都県
- 想定死者数:約23,000人
南海トラフ地震の特徴
一方、南海トラフ地震は、揺れと津波が広範囲に影響を及ぼす海溝型地震です。震源域は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界で、フィリピン海プレートが沈み込むことによって蓄積されたエネルギーが解放され、巨大地震が発生します。
この地震の特徴は、大きな横揺れが長時間続く点と、津波による甚大な被害が予想されている点です。
- 発生確率:30年以内に80%程度(2024年に引き上げ)
- 想定される被災範囲:30以上の都府県
- 想定死者数:約298,000人

周期的に起こる南海トラフ地震
南海トラフ地震は、約100~150年周期で繰り返し発生しています。1944年の東南海地震から約80年が経過しており、専門家は「いつ起きてもおかしくない」と警鐘を鳴らしています。

過去には、東と西で時間差で発生するパターンも見られ、一度の地震で終わらず、複数回にわたり被害が拡大する可能性があります。
例えば、
- 1944年:東南海地震
- 1946年:南海地震(わずか2年後)
発生の順序や影響範囲はケースごとに異なり、防災対策の複雑さが増しています。

最新の被害想定
- 最大マグニチュード:9クラス
- 震度6弱以上の揺れが24府県600市町村に影響
- 震度7の地域は149市町村に及ぶ
- 津波10メートル以上の地域:13都県、高知・静岡では30メートル超の恐れも
死者数は最大で約29万8000人。そのうち、
- 津波による死者:21万5000人
- 建物倒壊:7万3000人
- 火災:9000人
さらに、避難生活中の体調悪化などによる災害関連死は、最大で52,000人と試算されています。
経済被害
経済面でも甚大な被害が予測されています。
- 建物やインフラ復旧費:最大224兆9,000億円
- 生産力低下などを含めると最大292兆円以上
2. 東京都・練馬区への影響とリスク
では、東京都、そして練馬区は南海トラフ地震でどのような影響を受けるのでしょうか?
練馬区の揺れは限定的
予測されている最大震度は、東京都の多くで震度5強以下とされており、直接的な被害は比較的軽度です。
しかし、間接的な影響が多く予想されています。
- 帰宅困難者の大量発生
- 他府県からの避難者の受け入れ
- 物流の混乱や物資不足
特に深刻なのが、「帰宅困難者」の問題。地震発生と同時に公共交通機関が停止すれば、多数の人が職場や学校から自宅へ戻れなくなる恐れがあります。
また、避難者の受け入れに際しては、避難所の運営体制や生活支援体制の強化が課題です。
富士山噴火の可能性
さらに、私が個人的に注目しているのは、富士山の噴火リスクです。南海トラフ地震が誘発の引き金となる可能性が指摘されており、火山灰の影響が都心部にも及ぶ可能性があります。
このテーマは、別の機会に詳しくお伝えします。
3. 私たちにできる備え
地震は自然災害であり、完全に防ぐことはできませんが、備えることによって被害を大幅に減らすことは可能です。
家庭でできる防災対策
- 家具の固定や耐震対策の徹底
- 水・食料の備蓄(最低3日分、できれば7日分)
- 簡易トイレの備蓄(水道が止まることを想定)
- 災害時の家族との連絡方法と集合場所の確認
地域の力を活かす
災害時、最も頼りになるのは「隣人との助け合い」です。
- 普段から地域で挨拶を交わす
- 自治体や地域団体が行う防災訓練に参加する
- 防災情報を家族や近所と共有する
自助・共助・公助という言葉があるように、行政の支援を待つだけでなく、自分自身の備えと、地域のつながりを通じた助け合いが、未来の安全を守ります。
おわりに
今回は、南海トラフ地震について、基本情報から練馬区への影響、そして私たちにできる備えまでを解説しました。
防災は「もしも」のための備えですが、その「もしも」は、明日かもしれません。
日頃の小さな行動が、大きな命を守ります。ぜひ、この機会にご家庭でも話し合ってみてください。