おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。
今回は、令和8年度の予算をめぐって私が本会議で取り上げた論点を、5つのパートに分けて分かりやすくご紹介します。
今年は、国の予算編成が通常どおり進まない可能性も意識される中で、自治体運営にも一定の緊張感があります。一方で、練馬区の令和8年度予算は過去最大規模となりました。
こうした状況の中で大切なのは、単に「予算が大きいから良い」と見るのではなく、その中身をしっかり見極めることです。
私は今回、国の暫定予算の影響、過去最大予算の背景、「備え」と「投資」の両立、教育への考え方、そしてEBPM・DX・生成AIを活用した歳出改革について質問しました。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.国の「暫定予算」って何?練馬区への影響
2.令和8年度予算が過去最大、その背景
3.「備え」と「投資」をどう両立するのか
4.教育はハードもソフトも強化へ
5.歳出改革:EBPM・DX・生成AIで“稼ぐ自治体”へ
1.国の「暫定予算」って何?練馬区への影響
まず、今年の国の予算をめぐる状況です。
今年は、衆議院が解散したため、国会情勢によっては、国の本予算が年度内に成立しない可能性があります。そうなると政府は、4月以降の当面の間、暫定予算で対応することになります。
では、この「暫定予算」とは何か。
簡単に言えば、本予算が間に合わない場合に、行政が止まらないよう最低限必要な経費を一時的に計上する仕組みです。
私はこの点について、暫定予算が長引いた場合、自治体が一時的に財源を立て替えるなど、現場が混乱する懸念があるのではないか、区としてどう捉え、どう対応するのかを質問しました。

これに対し、副区長からは、次のような趣旨の答弁がありました。
- 社会保障など最低限必要な予算が中心になりやすい
- 暫定予算に入らない事業については、年度当初に国庫支出金の交付決定が出ず、区の事業執行に影響が生じる可能性がある
- だからこそ、国の動向を注視し、区民サービスへの影響を最小限にしていく
つまり、国の都合で現場がばたつくことがあっても、区民サービスは止めない。そのために状況を見ながら必要な対応を取っていく、という姿勢が示されたわけです。
自治体の現場にとっては、国の予算編成の遅れがそのまま実務の負担につながることがあります。だからこそ、こうした局面での危機管理能力が問われます。
2.令和8年度予算が過去最大、その背景
次に、練馬区の令和8年度予算規模についてです。

国も東京都も過去最大規模の予算となる中で、練馬区も前年度比4.8%増の3,687億円となり、5年連続で過去最大を更新しました。
背景としては、企業業績が比較的堅調であることや、特別区財政調整交付金の増加、税収の伸びなどが挙げられます。
ただし、ここで注意しなければならないのは、今の好調さが永遠に続くわけではないということです。
物価高、人手不足、少子高齢化、そして人口減少。こうした構造的な課題は、今後の自治体経営に確実に影響してきます。景気や企業収益も、ずっと右肩上がりとは限りません。

だからこそ重要なのが、「備え」と「投資」です。
今の税収が比較的好調なうちに、将来の厳しい局面に備える。同時に、未来の成長につながる分野にはしっかり投資していく。この両立が、これからの自治体運営の鍵になると私は考えています。
3.「備え」と「投資」をどう両立するのか
私は以前から、自治体運営は単なる事務処理ではなく、“経営”の視点が必要だと訴えています。

収入を増やし、無駄な支出を抑え、限られた資源を次の成長分野へ投資する。これが経営です。
時々、「限られた予算をどう効率的に活用するか」を経営だと捉える考え方もあります。しかしそれは、どちらかといえば“運営”です。
経営の本質は、成長分野に投資し、成長を促し、企業であれば利益を、行政であれば歳入を増やしていくことにあります。
その上で、景気が悪い時でも必要なサービスを維持できるよう、基金などを活用して備えておくことも欠かせません。
私はこうした問題意識を踏まえ、「備え」と「投資」をどう両立するのかを区に問いました。
これに対する答弁では、教育、子育て、高齢者、障害者福祉の推進などの施策を充実させるとともに、基金と起債を可能な限り活用し、持続可能な財政運営の堅持に努めている、という内容でした。
もちろん、財政運営の安定は重要です。
ただ、今回の答弁は、どちらかといえば「運営」に重きを置いた内容だったと感じています。
私は引き続き、将来への“投資”という視点の重要性を訴えていきたいと思います。
今ある行政サービスを守るだけでなく、将来の練馬区をより強く、より魅力あるまちにしていくための投資が必要です。
4.教育はハードもソフトも強化へ
次に教育です。
私は一貫して、
子供は練馬区だけでなく、日本の未来そのもの。子供への投資は未来への投資である
と考えています。
今回、教育分野についても質問しました。
教育長からの答弁では、まずハード面の整備として、次のような方向性が示されました。

- 学校改築を概ね年2校
- 長寿命化改修を概ね年1〜2校
- 体育館の空調機設置は今年度に全校で完了
- 現在は武道場への設置、普通教室などの空調更新を進めている
- 全学校のWi-Fi化などICT環境も強化
また、ソフト面では次のような内容が示されました。

- 教員の研修・校内研究の充実
- 教育アドバイザーの増員
- サポート人材配置など働き方改革
- 不登校、外国籍、障害のある子供など配慮が必要な子供への支援
- 来年度、障害のある子供の支援調整を一元化する新組織を教育振興部に設置
さらに、教育関係予算がこの10年で大きく増えている、という説明もありました。
これらはいずれも重要な取り組みです。
一方で、私は、ソフト面で挙げられた内容の多くが福祉的側面に重きが置かれており、教育の根本的な質そのものをどう高めるかという議論は、さらに深めていく必要があると考えています。
私は、わざわざ私立学校を目指さなくても、積極的に行きたい、そこで学びたいと誰もが思える区立学校をつくっていくべきだと考えています。
その実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。
5.歳出改革:EBPM・DX・生成AIで“稼ぐ自治体”へ
最後に、歳出の見直しと業務改革についてです。
予算に余力がある時ほど、既存事業が“聖域化”しやすい傾向があります。だからこそ、効果検証に基づく見直し、つまりEBPMの考え方を含めた業務改革と歳出改善が必要です。
私はこの点について、区に見解を求めました。
答弁では、次のような取り組みが挙げられました。
- 令和8年度も枠配分予算のゼロシーリングを継続
- 議事録作成作業へのAI導入
- LoGoフォームの活用
- RAG活用型の生成AIの本格導入
- 競り下げ入札方式による再エネ電力導入
こうした取り組みによって業務効率を高め、職員の時間を生み出し、本当に必要な政策や住民サービスに振り向けていく、という考え方です。
この方向性自体は大変重要です。
ただ、現時点ではまだ枝葉の改革にとどまっている面もあると感じています。
本当に必要なのは、単なる省力化にとどまらず、政策の優先順位を見直し、成果を測り、不要な支出を削り、その分を未来への投資に振り向けることです。
私はこれを、単なる「節約」ではなく、“稼ぐ自治体”への転換だと考えています。
自治体が自らの経営力を高め、歳入増や行政効果の最大化につなげていく。そうした根本的な改革を、引き続き求めていきます。
まとめ
今回の予算審議を通じて改めて感じたのは、これからの自治体には「守り」と「攻め」の両方が必要だということです。
国の暫定予算リスクのような外部要因に備えながら、財政基盤を安定させる。
その一方で、教育や子育て、まちの魅力向上、業務改革など、未来につながる分野にはしっかり投資していく。
練馬区の令和8年度予算は過去最大となりましたが、大事なのは規模そのものではなく、その中身です。
将来に責任を持てる予算になっているのか。区民の皆さまの暮らしを守り、練馬区の成長につながる予算になっているのか。そうした視点で、これからも厳しく、そして前向きに議論してまいります。
引き続き、区政の課題や議会での議論について、分かりやすく発信してまいります。




