こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。
さて、今回のテーマは、「東京都の太陽光パネル設置義務化」についてです。
●東京都の太陽光パネル設置義務化
さて、12月15日、東京都議会において、新築戸建て住宅などへの太陽光パネル設置を義務付ける環境確保条例の改正案が可決してしまいました。
賛成した会派は都民ファースト、公明党、日本共産党、立憲民主党などで、反対した会派は自民党などです。
環境確保条例の改正案の内容は、供給延べ床面積が都内で年間2万㎡以上の住宅メーカーが、延べ床面積2,000㎡未満の新築建物を建設する場合において、太陽光パネルの設置義務を負うものです。
対象となる事業者は約50社で、取り組みが不十分なメーカーに対する罰則はありませんが、改善に向けた指導や勧告などを東京都が行うというものです。
施行は2025年4月からです。
当然ながら、地球温暖化による異常気象が多発している中で、温室効果ガス排出量の削減は全世界的に尽力すべきことであると思います。
そのうえで、再生可能エネルギーの発電量はこれからもっと増やしていかなければならず、そのための一つの方策として太陽光パネルの設置は有益であると考えています。
しかしながら、今回の改正案において、どこが問題かというと、なぜ義務化なのか。新疆ウイグル自治区での人権問題はどうするのか。都民の理解は得られているのか。
といった問いに対して、小池都知事からの明確な答弁は全くないということです。
すでに太陽光パネル設置促進のための補助金制度はあり、設置が推進されています。
都民の権利に制限を課す義務化の前にまだやることがあるのではないか。
また、住宅価格の高騰を避けたい住宅メーカーは、安い中国産太陽光パネルを活用することが予見されます。
中国のメーカーの中には、新疆ウイグル自治区における強制労働問題に関与している企業もあり、アメリカではウイグル強制労働防止法に基づく輸入禁止措置が取られています。
しかしながら、日本ではこのような措置が取られていないため、新疆ウイグル自治区の人権侵害を助長しかねない状況に発展する懸念があります。
こういった大事な問題があるにもかかわらず、説明責任を果たせない東京都には大きな問題があると考えています。
さらには、先月、東京都の担当課長と意見交換を行いましたが、そもそもCO2を削減するために行う施策であるにも関わらず、削減効果の試算すら行っていませんでした。
その後、試算をしたようですが、義務化によるCO2の削減効果は、6年間で10万トンで、2030年までの都の削減目標である2639万トンの0・4%程度足らずであり、施策の有効性に疑問を持ちざるを得ない試算結果となっています。
また、今回の義務化による住宅価格向上がもたらす住宅市場への影響も試算することはなく、そもそも義務化でどれくらい住宅価格が上がるかすら検証していませんでした。
さらには、太陽光パネルは、リサイクル体制が確立しておらず、また、火事が発生した際、消防士が通常行う高圧放水ができないなど、環境面や防災面でも課題は多くあります。
何をこんなに急いでいるのか分かりません。
都民の権利を制限する条例改正であるので、もっと慎重に議論を重ねるべきであると思います。