【練馬区】災害対策|令和6年一般質問


こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。

さて、今回のテーマは、令和6年一般質問で行ったテーマの一つ『災害対策』についてです。


● 災害対策

今回の一般質問では、災害対策の他に、魅力ある公園づくり、教育、大江戸線延伸をテーマに取り上げました。
前回の動画では『魅力ある公園づくり』を解説しましたが、今回は、『災害対策』について解説していきます。
取り上げた内容は大きく分けて4点あります。
火災対策、災害時の情報の取り扱い、トイレ対策、女性の視点を活かした災害対策についてです。

今年は元日から能登半島地震が発生するなど、改めて、自然災害はいつ起きるかわからないことを痛感しました。
今回の地震で被災した輪島市に住む友人がいます。
彼は、私が副代表を務めている「ねりパパ」という練馬区のパパグループで、読み聞かせなど一緒に活動していた仲間です。
彼の家族はみんな無事でしたが、2階建ての自宅兼工場は、一階部分の柱が折れ曲がり、既に応急危険度判定で倒壊の危険を示す赤い紙が貼られています。

今は近隣の避難所にて避難生活を余儀なくされています。 工場が壊れてしまったため、これまでの仕事はできなくなってしまいましたが、すでに新しい職に就いて懸命に前を向いて進んでいます。

現在、元々の仕事である「まな板削り直し」を再開できるよう、工場の修復費用などをクラウドファンディングで寄付を集めています。

ぜひお力添えをいただければと思います。

▼クラウドファンディングはこちら
https://readyfor.jp/projects/sugimotomokkou

遠く離れた地にいる我々には、被災地の一日も早い復旧・復興に向けた支援を行うとともに、今回の震災で見えた課題を我が事として冷静に分析し、いつ起きてもおかしくないと言われて久しい「首都直下地震」などの大規模災害への対策に、活かしていくことが求められています。

まず、火災対策について。

国土交通省と建築研究所による現場調査によると、今回の地震によって石川県輪島市河井町(かわいまち)で起きた大規模な火災のよる焼失面積は5万800平方メートルに上り、焼失した建物は300棟と推定されています。
また、延焼が止まった要因として、道路を挟み8メートルから11メートルほど家屋が離れていたことが可能性として挙げられるとしています。
令和4年5月に東京都が見直しを行った「首都直下地震等による東京の被害想定」によると、練馬区において一番被害が発生すると想定されている地震のタイプは「多摩東部直下地震」で、延焼火災などによる建物焼失棟数は、前回の平成24年の被害想定が3,106棟だったのに対し、今回は11,004棟と72%も増加しています。
練馬区には、桜台東部地区や貫井・富士見台地区、田柄地区、下石神井地区など木造住宅密集地域、いわゆる木密地域が存在しています。
これらの地域は、道路や公園の整備が不十分な状態で市街化が進んだことにより、幅員4メートル未満の道路や曲がりくねった道が多く、また、公園やみどりが少なく、老朽化した木造住宅が密集して建ち並んでいます。
こうした木密地域では、先ほどの輪島市での大規模火災のように、地震で火災が起きると、広範囲に延焼してしまう危険を抱えており、防災上早急に対策が必要な地域となっています。
首都直下地震はいつ発生してもおかしくない状況にあるため、建物の耐震化促進と合わせて、木密地域の解消に向けて、道路拡幅や公園整備など、これまで以上に力を注力して、スピードを上げて取組んでいくことを求めました。

災害時は、同時多発的に火災が発生し、消防による消火活動だけでは対応することは困難であると言われています。
そこで大事になるのが、地域住民が主体となった消火活動です。
現在、防災会などの区民防災組織を中心に、スタンドパイプ訓練が実施されています。
この訓練自体は非常に大事であるものの、区民防災組織を担っている方々は、高齢化が進んでおり、また、町会・自治会や避難拠点運営連絡会を兼務されている方が大多数となっています。
いざ火災が発生したとしても、消火活動に注力できないおそれが十分に考えられます。
来年度から、これまで区民防災組織や避難拠点にしか配備されていなかったスタンドパイプが、区立施設やコンビニなどにも設置される予定であり、組織に属さない方でも気軽に使用することができるようになります。
また、今年度の補正予算で購入した防災訓練車を活用して、気軽に放水訓練ができるようになります。
これまでのような、避難拠点運営連絡会や防災会の防災訓練だけではなく、区内の中学校や高校、大学などに積極的に働きかけを行い、防災訓練車を活用した放水訓練を実施し、災害時のマンパワーの確保と将来の地域防災の担い手の育成に取り組むことを求めました。

次に、「災害時の情報の取り扱い」について。

災害時は、状況が刻々と変化し、情報が錯そうします。
正しい情報がなければ、正しい判断もできないため、いかにリアルタイムの正確な情報を入手し、対応につなげていくかが求められます。
避難所においては、避難所の職員が避難所の状況や物資の要望などを把握し、国や都道府県と共有する「物資調達・輸送調整等支援システム」が導入されたため、リアルタイムで情報を共有・調整し、対応することができるようになりました。
しかしながら、避難所に避難する方は一部であり、その他は自宅や車中など避難所外に避難します。
避難所の状況だけでなく、いかに在宅避難者など避難所外避難者の状況やニーズを把握し、支援を行っていくかが重要となりますので、対策を求めました。

災害時、リアルタイムの情報を収集するうえで、SNSは有効な手段です。
しかしながら、SNS上には、被災者を装って救助を求めたり、熊本地震の際は「ライオンが逃げた」といったデマ情報が拡散され、被災者の救助活動や被災状況の確認作業などに支障を来すだけでなく、不要な混乱を招きました。
今後、AI技術の進展や生成AIの普及により、個人が容易に偽画像や偽動画を作成できるようになり、一人ひとりが手軽に巧妙なディープフェイクを生成することができるようになります。
その結果、デマ情報の数が膨大となり、社会的な混乱を一層加速させるとともに、災害時のデマ拡散にも大きな影響を与える懸念があります。
この問題に対し、総務省はデマ情報に関する新たな作業部会を設け、対策に乗り出しました。EUでも、プラットフォーム事業者に対して、デマ情報などの有害コンテンツの削除を義務づけ、怠った場合は罰金を科す制度を導入していますが、即効性のある対応は困難です。
まず区として、災害時、SNSの情報にも注視しながら、デマ情報が拡散された場合、公式SNSによって否定するなど、対応策を検討しておく必要があると考えます。
また、区民に対しては、災害時の情報の取り扱いについて、発信元や情報源、他の情報などをしっかり検証して対応するなど、情報リテラシー向上に向けた啓発活動を行うよう求めました。

次に、「トイレ対策」について。

今回の地震では、水道に甚大な被害が発生し、いまだ断水が続いている場所もあり、トイレ不足の長期化とともに、衛生環境の悪化が課題となっています。
水道は一度被害を受けると復旧までに時間を要します。
東京都は、水道管の耐震化を進めていますが、令和3年度末の耐震適合率は66.0%となっており、大地震発生の際には水道が被害に遭い、長期間断水する恐れがあります。
今年度公表された「練馬区地域防災計画(令和5年度修正)素案」において、これまで要望していた中高層マンションを対象としたマンホールトイレの整備費用を助成することを明記いただきました。
マンホールトイレを新規に整備するためには、便器やテントの購入だけではなく、排水管や雨水貯留タンクなどの整備や、マンホールトイレを設置する下水を管理する東京都下水道局との協議などが必要となり、整備を計画してから、実際に整備されるまで、長い時間を要することが想定されます。
そこで、マンホールトイレ整備費用助成制度の早期創設と、整備を希望するマンションに対してスムーズに実施できるよう相談体制の構築を求めました。

最後に、「女性の視点を活かした災害対策」についてです。

これまで客観的資料が乏しかったためあまり認知されてきませんでしたが、専門家などによる調査で、東日本大震災において、10代から60代までの女性や子供たちが、さまざまな場所で、DVや性暴力の被害を受けていたことが明らかになりました。
この調査結果などを受けて、災害対策において、女性の視点を取り入れることの重要性が強く叫ばれるようになりました。
練馬区のおいても女性防災リーダー育成講座を開催するなど、女性の参画を促進していますが、いくら女性の参加が多くなったとしても、積極的に意見が言えなければ意味がありません。
例えば、災害時の性被害や女性用品に関する意見はなかなか言いづらいと思います。
しかし、こういった意見こそ、男性ではなかなか気づくことができない重要な情報です。
女性視点での災害対策を進めるためには、言いにくい意見でも気軽に言い合える雰囲気づくりが大切です。
今後も参画する女性を増やすとともに、意見を言いやすい環境をつくり、積極的に取り入れるよう求めました。

練馬区からは、「建物の耐震化や道路・公園整備など木密地域の防災まちづくりを早急に進めること」「中学校や高校で防災訓練を実施し、担い手育成を行っていくこと」「令和7年度から中高層マンションを対象に応急給水栓やマンホールトイレ整備費用補助を開始すること」「女性が防災対策に参加しやすい仕組みづくりを行っていくこと」などの回答がありました。

引き続き、いずれ必ず発生する大規模災害が起きたとしても、被害を最小限に食い止められるよう、防災対策のさらなる強化を行ってまいります。


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