【視察】岡山市の電子町内会の取り組み

こんにちは。
練馬区議会議員の佐藤力です。

先日、私が委員長を務める練馬区議会区民生活委員会で視察を行いました。
一つ目は広島県のスタートアップ支援について、二つ目は岡山市の電子町内会についてです。

今回は、二つ目の岡山市の電子町内会の取り組みについて、解説していきます。

岡山市の「電子町内会」:20年以上続く地域コミュニティのデジタル化挑戦

岡山市は、人口約69万6,280人、1,711の町内会があり、住民の78%が町内会に参加する高い地域活動率を誇っています。そんな地域のつながりをインターネットを活用して強化する「電子町内会」が、導入から20年以上経過した今、さらなる進化と課題解決に取り組んでいます。


電子町内会とは?

電子町内会は、オンラインで地域活動を支援するシステムです。各町内会はインターネットを活用し、地域のニュースや身近な出来事の情報を発信し合う場を提供します。
システムは以下のように構成されています:

  • 公開サイト:町内会の活動やイベントの紹介
  • 会員向けメールマガジン:最新情報をいち早く配信
  • 会員限定サイト:より詳細な情報を共有し、参加者同士の交流を促進

また、システムはAWSを活用し、各町内会には5GBの容量が割り当てられています。


進むデジタル化と課題

電子町内会の地域カバー率は52.2%と半数以上に及ぶ一方で、加入率はまだ5%にとどまっています。特に認知度の向上、住民の参加意欲の維持、そして次世代へのスムーズな引き継ぎが重要な課題です。また、高齢化が進む中、デジタル技術に不慣れな方が情報から取り残されないよう「情報格差」を解消する取り組みも必要です。


過去の取り組みと投資

岡山市は、平成13年に成立した「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」のもと、「電子自治体の構築」を目指し、このプロジェクトを始動しました。システムの初期構築には約2,000万円を投じ、交付金を活用して実現しました。現在も年間620万円の運用コストをかけ、継続的な運営が行われています。


防災・ゴミ情報の発信も重要な役割

電子町内会のもう一つの特徴は、防災情報の発信です。災害時に迅速な情報共有を行うことで、住民の安全を守ります。また、ゴミステーションの使用ルールや収集スケジュールの通知など、生活に密接した情報も提供しています。これにより、住民の利便性を高め、コミュニティ活動を円滑にしています。


電子町内会の今後に向けて

一部の町内会のホームページでは、月に2,500PVを超えるアクセスがあり、利用者からの関心が見られます。しかし、さらなる認知度の向上と、若年層も含めた幅広い参加が求められています。地域全体でのモチベーションを高め、デジタルツールを活用することで、次世代に引き継がれる町内会を目指していくことが重要です。


練馬区をはじめ全国的な課題として、これまで地域コミュニティを支えてきた町会・自治会が、高齢化や加入率の低下といった課題に直面しています。
高齢に伴い回覧板を回すのも難しくなってきたから、町会・自治会を辞めるという方も増えてきています。
電子町内会は、地域の結びつきを支えるための新たな地域プラットフォームの方向性の一つとして期待してます。
地域に対する意識の低下を背景とした、地域の担い手不足という大きな課題を解決するためには、社会環境の変化に対応して、町会・自治会をはじめとした地域コミュニティも進化・変化をしていかなければならないと考えています。
地域の皆さんと共に、その方向性について模索していきたいと思います。

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