日本版DBS制度とは? 子供たちを守る新たな仕組み

おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。

本日は、子供たちの安全を守るための新たな取り組み「日本版DBS制度」についてご紹介します。


日本版DBS制度とは

日本版DBSは、今年6月に成立した「こども性暴力防止法」に盛り込まれた新たな制度です。この制度の背景には、教員や保育士、スポーツコーチなどによる子供への性犯罪が後を絶たない現状があります。

警察庁のデータによると、令和4年度に発覚した子供への性犯罪は1,000件を超えています。また、公立学校では同年度に性犯罪や性暴力で懲戒処分を受けた職員が242人にも上ります。さらに、内閣府の調査では、子供への性加害者の7~8割が親族や教師など「顔見知り」であるという結果が出ています。


制度の目的と仕組み

日本版DBSの目的は、性犯罪歴のある人が再び子供に関わる仕事に就くことを防ぎ、再犯を防止することです。具体的には、幼稚園や保育所、小中高校、児童養護施設など、公共性の高い施設で職員や就職希望者の性犯罪歴を確認する仕組みを整備します。

施設や事業者は、こども家庭庁を通じて性犯罪歴の照会を申請します。対象者が性犯罪歴を持つ場合、まず本人に通知され、2週間以内に辞退すれば施設側への通知は行われません。それでも通知が行われた場合、施設や事業者はその職員を子供と接する業務から外す義務があります。


制度が抱える課題

日本版DBSにはいくつかの重要な課題が挙げられます。

  1. 有罪判決を受けた人しか対象とならない
    日本版DBSで確認できるのは、刑事事件で有罪判決を受けた性犯罪歴のみです。しかし、子供への性犯罪は発覚や立件に至らないケースが多く、被害が表面化しないまま終わることもあります。
  2. 小規模事業者への負担
    学習塾やスポーツクラブなどの小規模事業者が制度に参加するためには、職員研修や相談窓口の設置が求められますが、資金的な余裕がないため参加が難しい場合があります。このため、認定を受けていない事業者に性犯罪歴のある人が流れ込むリスクが指摘されています。
  3. 情報漏洩のリスク
    公立学校の教員には守秘義務がありますが、民間事業者にはその義務が課されていません。そのため、性犯罪歴が漏洩し、対象者が地域社会から排除される可能性があります。情報管理の強化と漏洩に対する罰則の検討が必要です。
  4. 初犯の防止が難しい
    日本版DBSは再犯を防ぐための制度であり、初犯を防ぐ直接的な仕組みはありません。そのため、性教育や子供たちが性暴力の被害を予防するスキルを身につける教育が重要です。また、教員や保育士の教育課程に性暴力被害に関する講座を必修化することも求められています。

練馬区の取り組み

練馬区では、子供たちを性暴力から守るため「練馬区児童生徒への性暴力等防止特別対策委員会」を立ち上げ、対策を進めてきました。先月、委員会の提言を受け、練馬区教育委員会が以下の対策方針案を公表しました。

  • 教員への研修強化
  • 子供が相談しやすい体制の整備
  • 施設管理の徹底

ただし、これらの対策がどれだけ効果を上げるかは実施してみないと分かりません。


教員と子供との距離感の課題

効果的な対策の一つとして、教員が子供たちと一定の距離を保つことが挙げられます。しかし、教員が子供たちの人格形成や家庭環境の相談に乗るためには、信頼関係の構築が必要です。このバランスをどのように取るべきか、教員の指導スタイルの見直しが求められています。


おわりに

日本版DBS制度は、子供たちを性暴力から守るための重要な仕組みですが、多くの課題も抱えています。私たちは引き続き、制度の課題解決や効果的な運用に取り組み、子供たちが安心して生活できる社会を目指していきます。

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