おはようございます。
練馬区議会議員の 佐藤力 です。
今回は、東京都の「農の風景育成地区」制度について、基本概要から練馬区の指定の歩み、保全事業、そして10月の決算特別委員会での質疑内容まで、5つのパートに分けて詳しくお伝えします。
目次
① 東京都制度のポイント

目的: 都市に残るまとまりある農地・屋敷林などを、まちづくりと連携して保全・育成し、「農のある風景」を将来に引き継ぐこと。
仕組み: 区市町村が申請し、東京都が指定します。生産緑地や都市計画公園などの都市計画手法とセットで進められます。
創設: 2011年(平成23年)。以降、都内7か所で指定が進み、情報発信やシンポジウム等で普及が図られています。
② 練馬区の指定の歩み(地域像)
● 高松一・二・三丁目地区(第二号)

- 2015年6月1日 指定/約35.1ha
- 営農継続の支援と、区民が農に触れ合う拠点整備で、農地・樹林地を確実に保全。
- 連携拠点: 高松みらいのはたけ(2023年3月開園)——体験・マルシェなどを展開。
● 南大泉三・四丁目地区(第四号)

- 2019年12月20日 指定/約70.2ha
- “生きた農”と共存する地域の魅力向上を目指し、実行委員会がイベントや情報発信を継続(例:南大泉 with 農フェスタ)。
③ 区の保全事業と最近の取組
練馬区は2020年度から、地区内の農業者等で組織する団体の魅力発信・保全活動に対して補助する「農の風景育成地区農地保全事業」を新設しました。
対象例: 広報物・Web制作、マルシェや収穫体験、展示・案内サイン設置、清掃・草刈りなど。
最近の取組:
- 高松地区: PR看板設置、野菜をデザインしたガーランド作成、体験イベントの実施 など
- 南大泉地区: 南大泉 with 農フェスタ、クイズラリー・収穫体験・マルシェ開催 など
④ 10月 決算特別委員会の質疑と答弁(ダイジェスト)
④-1 高松地区の「機運醸成」支援について
質問(佐藤力)
実行委員会は少人数で人手不足。イベント運営のノウハウも不足している。
「農」は練馬の貴重な資産。都市農業課が積極関与し、必要に応じて専門家も加えて支援を——と提案しました。
区の答弁(要旨)
実行委の人材不足は認識しており、今年度から実行委+区+みどりのまちづくりセンターの三者連携で意見交換を開始。
イベント実施に向け検討を進行中。
今後も魅力発信に取り組む農業者への支援を継続し、都市農業の振興と地区の活性化につなげていく。
④-2 高松みらいのはたけの「平時の来園」促進について
問題提起(佐藤力)
昨年度来園者は7,593人(イベント4,311/非イベント3,282)。
ただし、非イベント日は1日10人程度にとどまる日も。
日常的に立ち寄りたくなる仕掛けが必要。例として、子供向け虫カード・探検ラリーなど、低コストで継続できるコンテンツを提案しました。
区の答弁(要旨)
SNS発信、季節の花植栽、近隣校・園への情報提供を実施。
畑の一部を「土場」として整備し、子供が土に触れられる遊び場に活用。
今後も農に触れ合える拠点として運営し、身近な施設として感じてもらえるよう取組を継続。
行政・実行委・地域がタッグを組んだ“仕掛けづくり”で、平時の来園者増と定着をめざします。
⑤ 効果・課題と私の提案
◎ 農の風景育成地区の効果
指定・都市計画整備・補助・担い手育成(農の学校・ねりま農サポーター)を重層的に組み合わせ、地域の農が「見える」「参加できる」形に進化しています。
◎ 今後の課題
都市全体の農地縮減や承継問題は、地区施策だけでは解決できません。
広域的・個別的施策を組み合わせた“パッケージ対応”が求められます。
◎ 私の提案:すぐできる「平時の来園」強化策

- 子供向け常設アクティビティ: 虫・植物カード、季節のスタンプラリー、畑ミッションで年間を通じて来園の理由を創出。
- ライトな“まなび”導線: 畑のQRサインで「いまの見どころ」「次の作業」「家でできる一鉢栽培」へ誘導。
- 支援の見える化: 企業・団体の協賛のれん/ガーランドで関与の輪を拡大。
- イベント運営ノウハウ注入: 区・センター・専門家で運営テンプレ(導線図・役割表・備品リスト)を整備し、実行委員会の負担を軽減。
- ねりま農サポーター/農の学校連携: 月1回の「開かれた手入れ日」を設定し、子供・保護者も参加できる形に。
まとめ
東京都「農の風景育成地区」制度のポイント、練馬区の指定の歩み、保全事業、そして10月の委員会質疑までをご紹介しました。
農のある風景は、練馬の大切な資産です。
平時から人が集い、関わり、次世代に引き継いでいける仕掛けを、これからも積み重ねていきます。

