こんにちは。
練馬区議会議員の佐藤力です。
10月23日(水)、24日(木)、練馬区議会 区民生活委員会の視察で岡山県に行ってきました。
余談ですが、この記事は、帰りの新幹線で書いています。
今はどこでもFree Wi-Fiが利用できて便利ですね。
視察の目的は、『岡山県の観光施策』と『大原美術館(運営:公益財団法人 大原美術館)』です。
まず、『岡山県の観光施策』について。
岡山県は、政府主導のインバウンド施策や岡山空港への直行便の就航により、年々外国観光客数が増加しています。
また、さらなる向上に向け、台湾や香港、フランスなどに現地PRデスクを設置するなど、海外プロモーションに力を入れています。
しかし、すべて順調というわけではなく、交通の利便性の良さから、観光客に占める宿泊者数は3割程度にとどまってしまっており、観光消費額が伸び悩んでいます。
そこで、体験型観光メニューや周遊観光など滞在型観光施策の充実に取り組んでいます。
練馬区はそもそも観光資産が乏しい自治体であります。
しかし、来街客、特に、インバウンド需要に応えられるだけの潜在的な観光資産のポテンシャルは、非常に高いと考えています。
これからの時代は1から100を生み出すのではなく、0から1を創り出すことを積極的に取組んでいかなければなりません。
次に、 『大原美術館』について。
大原美術館は、岡山県倉敷市にあり、公益財団法人 大原美術館が運営している私立美術館です。
倉敷を基盤に幅広く活躍した事業家・大原孫三郎氏が、前年死去した画家児島虎次郎を記念して昭和5年(1930年)に設立した、日本最初の西洋美術中心の美術館です。
大原美術館の年間の来場者数は約30万人。
90年代のピーク時には120万人だったとのことで、説明いただいた財団の方は非常に危機感を抱いておりました。
しかし、練馬区立美術館の来場者数(約10万人)と比較すれば、まだまだ圧倒的です。
この美術館には、エル・グレコの『受胎告知』をはじめ、クロード・モネやパブロ・ピカソ、アンリ・マティスなどの作品を数多く収蔵しています。
今、買い集めようとしたら、莫大な資金が必要になりますが、モネやマティスなども大原孫三郎氏が直接本人から作品を購入したので、費用もそれほど多くは必要なかったとのことです。
今を生きる作家を大事にしたいという大原氏の想いがあったそうですが、すごい先見の明であるなと驚きました。
また、大原美術館は、子供たちへの美術教育に非常に力を入れています。
毎年、保育園・幼稚園児を延べ3,000人、小学生700人に対してワークショップなどを行っています。
芸術は、大人でも理解しがたい部分もあり、好き嫌いが割れるものです。
ある意味、自分の価値観に合わない異物とも言えると思います。
それをどうやって咀嚼し、理解するか。
価値観が多様化している現代社会において、まさに必要不可欠な力です。
余談ですが、子供たち向けワークショップの一つに、保育園児などに好きな収蔵作品1点を描くというものがあります。
収蔵作品が数多くあるわけですが、どうしてか、子供たちの大半がピカソの絵を選ぶそうです。
当然、ピカソが著名な画家ということを知っているからではありません。
子供たちの感性が注目させるのだと思います。
この力もしっかり伸ばしてあげることが大事だと思います。
こういった取り組みは、本来、公立美術館が担うものであり、これからの練馬区立美術館が積極的に取組んでいかなければならないことの一つだと考えています。
効果的にこのような取り組みを行うためには、大原美術館の方もおっしゃっていましたが、美術館職員のポテンシャルの高さが必要不可欠です。
現在の練馬区立美術館の学芸員の方は、美術作品の収蔵・管理、また、集客のための企画などには長けてはいますが、教育についての経験値は高くありません。
昨年、練馬区立美術館の館長に、金沢21世紀美術館長などを歴任し、東京藝術大学美術館の館長も勤められている秋元雄史さんを迎えました。
職員についても、美術を通じた幼児教育に長けた人材を外部から採用することが必要であると考えます。
これは、美術館に限ったことではなく、区職員の質の向上、人材育成の観点からも非常に重要なことであると考えています。
今後も積極的に外部人材の活用を訴えていきます。