子供月5,000円の効果はいかに!?真に必要な少子化対策とは?


こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。

さて、今回のテーマは、「真に必要な少子化対策」についてです。


●真に必要な少子化対策

我が国が抱える大きな問題として、少子化問題があります。
昨年、総務省が公表した統計トピックス「我が国のこどもの数」によると、15歳未満の子供の数は、前年に比べ25万人少ない1,465万人で、昭和57年から41年連続で減少となり、過去最少を更新しています。
また、総人口に占める子供の割合は11.7%で、48年連続の減少となっており、国際比較すると、我が国は最も子供の割合の少ない国となっています。
我が国の少子化問題は、「国難」とも「静かなる有事」とも表現されていますが、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤に関わる問題として、今後ますます大きくなってきます

国立社会保障・人口問題研究所が公表した2021年の出生動向基本調査によると、夫婦に聞いた「理想とする子供の数」は2.25人で、「実際に予定している子供の数」は2.01人となっています。
「実際に予定している子供の数」が「理想とする子供の数」を下回る夫婦に対して、理想の子供の数を持たない理由を聞くと、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と答える方が52.6%で最も多く、妻の年齢が35歳未満の夫婦で約8割となっています。
子育てにかかる経済的負担の大きさが少子化の要因の一つになっていることが分かります。

これまでも少子化は問題であると言われてきましたが、際立った対策は取られてきませんでした。
しかしながら、今回、政府が出産育児一時金を42万円から50万円に引き上げるなど「異次元の少子化対策」を行うことを表明。
さらに、東京都が、18歳までの子供一人当たり月5,000円の給付や、第2子の保育料の無償化を表明するなど、矢継ぎ早に、新しい子育て支援策を打ち出しました。

少子化対策や子供関連に注目が集まり、予算が振り分けられ、子育て世帯の経済的な負担の軽減が図られることは、これまでになかった流れであり、大きな前進であると思います。

ただ、給付金や無償化は耳障りが非常によく、政治的パフォーマンスとして、とても秀逸な政策ですが、1兆円以上にものぼる税金の使い道として、どこまで効果的なのかはよく見極めていく必要があるのではと考えています。

そもそも少子化の要因は、結婚する人の減少や晩婚化、子育てにかかる経済的負担の大きさなど、さまざまあります。

『結婚したい、子供を持ちたいという願望がない方』に対して、対策を取ることは難しいですが、『結婚したい、子供を持ちたいけど、課題があってできないという方』に対して、その課題を取り除き、希望を叶えてあげられれば、十分に子供の数を増やすことができると考えています。

未婚率の増加や晩婚化に対しては、若者の賃金の向上や労働環境の改善、出産経験のある女性の地位の向上を図るなど、新たな女性のキャリアパスの構築などが考えられます。
また、経済的負担の軽減については、これまで幼児教育・保育の無償化や児童手当、こども医療費の無償化など実施されてきました。
私も子供が3人いるので、これらの施策に対してありがたさを非常によく実感しています。
ただ、まだまだ経済的負担は大きいので、引き続き、さまざまな面での経済的支援が必要であると思います。

さらに、私が少子化の非常に大きな要因の一つであると考えているのが、教育です。

2022年末に、文部科学省が発表した調査結果によると、学校や塾など、保護者が子供1人の学習にかける年間の費用は、私立の小学校で約167万円、中学校で約144万円となっており、いずれも2018年度に行われた前回の調査より増加し、過去最高となっています。

また、公立の小学校では約35万円、中学校では約53万円となり、共に過去最高となっています。

その費用のうち、学習塾やスポーツ、文化活動など、学校外での費用の平均額は、小学校で約25万円、中学校で約37万円となっており、学習費用の多くは、学校外での費用となっています。

現在、中学受験競争など教育を取り巻く競争が激化しています。
子供たちが将来困らないよう、良い教育を受けさせたいと思うがあまり、塾や私立学校に通うことを求め、教育費が増大していっています。

子育てにかかる経済的負担の大きな部分は教育費であり、それが年々増大していることが、少子化の大きな要因であると考えています。

私は、少子化対策としても、我が国の国力向上を図るうえでも、義務教育の質の向上こそ、最も力を入れるべきことであると考えています。

新型コロナウイルスによって、2021年にようやく小中学校の児童生徒一人一台タブレットが配布されましたが、これも教育の質の向上の重要性を考えれば、もっと前に実施できたはずです。

また、近くの公立学校で、私立に負けない教育を受けられるようになれば、わざわざ電車に乗って、遠くの私立に行く必要はなくなります。
練馬区教育委員会に対してたびたび指摘していますが、公立学校の競合は近隣の公立学校ではなく、国立や私立学校です。

横並びばかり気にして、新しいこと、チャレンジングなことに対して後ろ向きな考え方を捨て、私立などに負けない特色を自ら作り出し、切磋琢磨をしていき、積極的に選ばれる学校になることこそ、これからの公立学校に求められることであると考えています。

今回の月5,000円給付についても、お金を配るだけだったら、そこでなくなってしまいますが、教育の質の向上に使えば、未来に向けた種まきとなり、将来への投資に繋がっていきます。

私は、真に必要な少子化対策は、公教育の質の向上であると考えています。

引き続き、公教育の質の向上に取り組んでまいります。


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