練馬区にN分N乗方式を導入したら!?


こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。

さて、今回のテーマは、「N分N乗方式」についてです。


●N分N乗方式

政府が最重要課題と位置づける少子化対策をめぐり、子供の多い世帯ほど所得税は減税される「N分N乗方式」の導入の是非が議論されています。

以前、練馬区の住民税にN分N乗方式を導入したらどうなるのか計算してみたことがあります。
データ的にも古いですし、あくまでも仮定に基づいたシミュレーションですので、参考までにお聞きいただければと思います。

まず、N分N乗の計算方法ですが、世帯単位で課税するところに特徴があります。
税額を出すには、まず世帯全員の所得を合算し、子供を含む家族の人数を基にした「家族序数(N)」で割って、課税所得を算出します。
その所得に税率をかけて一人当たりの税額を計算し、そこに「N」を再びかけて世帯の税額を出します。
フランスでは、大人が「1」、子供は2人まで「0.5」、3人目以降は「1」として「N」を算出します。
単身世帯は「1」、夫婦だけの世帯は「2」、夫婦と子供1人の世帯は「2.5」、子供が2人なら「3」、子供が3人なら「4」となります。

まずここで行ったシミュレーションは、夫婦2人子供2人の4人家族で、夫の収入が350万円、妻の収入が350万円の共働き世帯を想定しています。

現在の住民税の計算では、子供の数は考慮されないので、子供の有無に関わらず、このケースの場合では世帯納税額は23.6万円となります。
次に 、N分N乗 方式による住民税の場合、「N」 は「3」となりますので、世帯収入700万円をNで割ると、課税所得は233万円となります。
ここから様々な控除が行われ、税率をかけると、1人当たりの住民税は6.9万円と計算されます。
そこに、N をかけた世帯納税額は、20.7万円となります。

つまり、N分N乗方式を導入すると、世帯納税額は約2.9万円減額されることになります。

これを練馬区全体で計算してみると、総額で約23.1億円の減税となります。
つまり、練馬区でN分N乗方式を導入するには、23.1億円の経費がかかるということです。
これだけの大きな金額をどのように生み出すのかというのが非常に重要な問題となります。

そこで考えたのが「ねりま子育て基金」の創設です。

この基金の運用益を財源にするということです。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用利回りは、2.5%であったため、必要資金23.1億円を利回り2.5%の運用益でまかなうためには、原資として924億円が必要となります。
練馬区の税収入等の増分から義務的経費の増分を差し引いた額に、練馬区が毎年基金として積み立てている額および歳出削減によって生み出す額を足した合計額を積み立てていきます。

そのシミュレーション結果がこちらです。

積立開始してから11年目で、基金総額は924億円を超え、運用益は財源に必要な23.1億円を突破しますので、ここからN分N乗方式が実施開始となります。

この施策を実施することで、どれだけ子供の数が増えるのかをシュミレーションした結果がこのグラフです。

フランスを参考に、N分N乗方式を実施してから成果が出るまでに15年、その後、合計特殊出生率は2.0を上限に5年ごとに0.1上昇すると仮定してシミュレーションを行いました。
そうすると、施策を実施しなければ、100年後には、年間出生数は約2,700人にまで減少してしまいますが、施策を実施することで、7,600人にまで増加するという結果となりました。
また、この結果が税収に与える影響を計算してみると、100年間で1,027億円もの税収増がもたらされることが分かりました。

これはあくまでも、さまざまな仮定に基づくシミュレーションであるため、現実的にはここまでうまくいかないと思います。
しかしながら、何もしなければ、確実に子供の数が減り、日本にとっても、練馬区にとっても、非常に大きな問題となります。

私は教育を含めた子育て関係経費を、国だけでなく、練馬区としても、もっと増額し、子供を産み、育てやすい社会を醸成していくことが大事であると考えています。
子供が3人いる、現役子育て中の議員として、引き続き、子供関連政策の拡充に努めてまいります。


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