【練馬区】教育|令和6年一般質問


こんばんは。
練馬区議会議員の佐藤力です。

さて、今回のテーマは、「令和6年一般質問で行ったテーマの一つ『教育』」についてです。


● 教育

今回の一般質問では、教育の他に、災害対策、魅力ある公園づくり、大江戸線延伸をテーマに取り上げました。
前回の動画では『災害対策』『魅力ある公園づくり』について解説しましたが、今回は『教育』について解説していきます。
取り上げた内容は大きく分けて4点あります。

中学校選択制度、中学校の部活動、小学校の教科担任制、学校プールについてです。
我が国はかつて、世界トップレベルの教育による日本人の能力の高さと、人口の多さによって、世界2位の経済大国となりました。
しかしながら、円安の影響もあるものの、急激な少子化・人口減少の進行とともに、長期的な経済の低迷により、昨年の日本のGDPは世界4位となりました。
このような状況にある我が国において、これまで以上に力を入れていなければならないことは、日本人一人ひとりの能力を高め、日本の成長を牽引する人財を育成すること。
また、そのために、これからの先の見えない時代を切り拓く力を、身に着けさせる教育を子供たちにしていくこと、であると考えています。
近年、都内を中心に、いい大学、いい会社に入るために、いい教育を受けさせたいと考える家庭が増加し、中学受験が過熱しています。

その影響で、子供の教育にかかるコストが高騰し、少子化の大きな要因になっています。
偏差値の高い高校や大学に進学できるかどうかといった古い価値観ではなく、これからを生きる子供たちに対して、いかに考える力を身に着けさせ、未曽有の事態に直面しても生き抜ける力を身に着けさせることができるか。
これからの学校の価値基準はそこにあると考えています。
来年度から東京都は、私立中学および高校の授業料の助成制度において、親の所得制限を撤廃する方針を示しました。
年々、私立と公立の垣根が低くなってきています。
こういった流れの中において、区立学校が果たす役割はますます大きくなっていると考えています。
そういったことを踏まえて、今回の一般質問で行った質問内容についてお話していきます。

まず、「中学校選択制度」について。

中学校選択制度は、魅力ある学校づくりと、生徒・保護者の意思を可能な限り尊重することを目的としています。
令和3年の練馬区立中学校選択制度検証委員会の資料を見ると、「学校の教育活動や教育方針」、つまり、「学校の魅力」を理由として、学校を選択した生徒はたったの2%しかいませんでした。
また、区域外の学校を選択した理由として一番多かったのは、「部活動の有無や活動状況」で、23.9%を占めています。
私立学校を選択する場合は、大半の方が学校の魅力で選んでいますし、現在、部活動を学校から切り離し、地域に移行していこうという流れの中で、この現状は変えていかなければならないと考えています。
そのため、区に対して、「学校の教育活動や教育方針」を選択理由として挙げる生徒の割合をKPIに設定して、学校の教育活動や教育方針で積極的に選ばれる学校づくりをさらに強力に推進していくことを求めました。

次に、「中学校の部活動」について。

中央教育審議会は、平成20 年の答申において、「部活動は『教育課程外の学校教育活動』の一つである」と整理し、平成31年の答申において、「将来的には、部活動を学校単位から地域単位の取組みにし、学校以外が担うことも積極的に進めるべき」としました。
これらの答申を受けて、文部科学省は、令和2年9月に開催された「学校における働き方改革推進本部」の中で、休日の部活動の段階的地域移行の方向性を示しました。

先月公表された練馬区の「教員の時間外在校時間等の実態調査」の結果を見てみると、労働基準法の改正によって、残業の上限となった年720時間を超える時間外在校時間となってしまっている教員の割合は17.9%となっています。
小学校と中学校で比較をしてみると、小学校は12.0%で、約10人に1人あるのに対して、中学校は30.4%と約3人に1人が年720時間を超えています。
部活動だけが要因ではありませんが、部活動が教員の大きな負担になっていることがわかります。
練馬区は、今後、休日における部活動の地域移行を検討するため、関係部署を交えた検討会議を設置するとしています。
一番の課題となる指導員の確保に向けては、地域のスポーツ団体やSSC、総合型地域スポーツクラブの協力は欠かせないと考えています。
また、それと合わせて、区内には、音楽や芸術、スポーツなどを専門とした大学や専門学校もあるため、そういった団体や学校にも検討会議に参画していただき、地域一体となって部活動の地域移行に対して取り組んでいくよう区に求めました。

次に、「小学校の教科担任制」について。

教科担任制とは、教員が特定の教科を担当し、教科の専門性を生かした授業を行う制度です。
教科担任制を導入することで、授業の質の向上や複数の教員で児童を見守れること、教員の働き方改革の促進などの効果が期待されます。
中央教育審議会は、令和4年度を目途に小学校高学年から教科担任制を本格的に導入する必要があることを示しました。
これを受け、文部科学省では、外国語、理科、算数および体育を優先的に専科指導の対象とすべき教科とし、令和4年度から4年程度をかけて段階的に教員定数を3,800人程度増加させるとしています。
しかしながら、全国に小学校は19,000校近くあり、3,800人程度では到底足りません。
東京都でも小学校教科担任制等推進校を指定し取組みを進めていますが、練馬区では豊玉小学校1校で1教科のみの導入となっています。
それ以外の学校においては、各学校の努力により、学級担任間で授業を交換する教科担任制に取り組んでいる学校もありますが、それぞれの教員の質や専門性に大きく左右されるだけでなく、期待する効果の一つである空き時間を生み出すことはできないため、働き方改革にはつながっていないのが実情です。
そのため、東京都に対して教科担任制のさらなる推進を求めるとともに、練馬区で独自に、専科指導ができる非常勤講師などの配置を行うよう区に求めました。

最後に、「学校プール」について。

これまで我が会派は、年々深刻化する猛暑への対応や教員の負担軽減などを目的に、学校プールのあり方について検討するよう求めてきました。
昨年、公表された「練馬区学校施設管理実施計画〔中間見直し〕(素案)」において、1校1プールの設置を見直し、近隣校同士での共同利用を行うほか、区立・民間プールの活用に向けてモデル事業を実施するとの方針が示されました。
今回の方針は、プール施設のあり方のみにとどまっていますので、それと合わせて、教員の働き方改革の観点も取り入れて、プール指導を民間プール施設の指導員などに委託するなど、学校プール授業のあり方についても検討するよう求めました。

練馬区からの回答として、まず教育長から、「区立中学校は、練馬区教育・子育て大綱に定める目標に向け、誰もが等しく教育を受けられるように取り組んでいますので、私立中学校とは異なる」といった旨の答弁が冒頭にありました。
この答弁は、もはや毎度のことなんですが、だから変わらないんだよねと思ってしまいます。
教育委員会が大事にしすぎる「公教育」という固定観念にパラダイムシフトを起こしていただかなければ、これからの時代を生き抜く子供たちの未来は切り拓けないと思います。

それ以外の回答として、「地域と協働しながら学校選択制度の充実を図る」「アンケート結果や生徒等の意向を踏まえて、検討会議を実施し、地域移行の準備を進める」「教科担任制推進校での成果や課題を踏まえて、より効果的な指導体制の在り方について、検討していく」「学校プール授業を民間プールに委託するなどモデル事業を実施し検証していく」との回答がありました。
引き続き、教育の質の向上に取り組んでまいります。


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