こんにちは。
練馬区議会議員の佐藤力です。
令和3年(2021年)12月1日、練馬区議会第四回定例会において一般質問を行いました。
テーマ別に当日の映像と、質問・答弁(練馬区からの回答)をお伝えいたします。
今回は「グリーンインフラの推進」です。
● 一般質問の概要
テーマ | 概要 | URL | |
1 | 災害対策 | ・災害時のトイレ対策 ・2階以上の学校体育館への対応 ・災害時の行方不明者や避難者などの情報の取扱 ・ペット防災の重要性の周知とさらなる練馬区獣医師会との連携 ・富士山噴火時の降灰対策 |
https://satoriki.net/blog/5915/ |
2 | グリーンインフラの推進 | ・稲荷山公園整備計画にかかる地権者へ丁寧な対応とともに、早期整備スケジュールの提示 ・保護樹林制度の拡充 ・都市農業のさらなる発展とインバウンド需要の獲得 |
https://satoriki.net/blog/5936/ |
3 | パラリンピックのレガシー | ・子供たちへアスリートと接する機会の提供 ・パラスポーツ大会やチームの誘致 ・光が丘駅・小竹向原駅にエレベーター・エスカレーター設置 |
https://satoriki.net/blog/5944/ |
4 | 多様な働き方の推進 | ・フリーランスなど個人事業主へ練馬区業務の発注 ・テレワークの推進 ・精神疾患による休職者への対応 |
https://satoriki.net/blog/5951/ |
5 | 民間力の活用 | ・練馬区職員の民間企業派遣の推進 ・デジタル人材の育成 ・副業・兼業人材の活用 ・スタートアップ企業の育成支援 |
https://satoriki.net/blog/5958/ |
6 | 大江戸線の延伸 | ・大江戸線延伸の実現に向けた練馬区の意気込み ・収支採算性の向上に向けた取組み ・(仮称)大泉学園町駅周辺を創業支援の拠点に |
https://satoriki.net/blog/5965/ |
● 映像
● 質問・答弁(練馬区からの回答)
「グリーンインフラの推進」についてお伺いいたします。
東京都の人口は2025年をピークに減少局面を迎え、2040年代には高齢化率が3割を超えると予測されています。人口減少・高齢化の進行に起因する様々な課題が顕在化しつつある中で、平成27年度に閣議決定された「国土形成計画、第4次社会資本整備重点計画」では、「人口減少・高齢化等に対応した持続可能な地域社会の形成」に向けた対策の一つとして、グリーンインフラの取組みを推進することが盛り込まれました。グリーンインフラとは、自然環境が有する多様な機能をインフラ整備に活用するという考え方を基本としています。温室効果ガスの吸収や雨水の貯留浸透などを通じた気候変動への適応、投資・人材を呼び込む魅力的な都市空間の形成、さらには、防災・減災など、様々な場面での多様な機能の発揮が期待されています。また、新型コロナウイルスにより、私たちの生活や働き方が大きく変化している中で、屋外における開放的なみどりやオープンスペースの重要性を改めて認識することとなりました。今後の人口減少や少子高齢化、気候変動に伴う災害リスクなどに対応した持続可能な地域社会を実現していくためには、グリーンインフラの考え方にのっとり、地域のみどりの保全・活用、そして、創出していくことが、必要不可欠であると考えています。
そういった中において、練馬区で初めて大規模な公園整備に取り組む稲荷山公園整備計画は、長期的な視点で考えると、非常に意義のあることだと考えます。改めて、本計画を実施する意図・目的についてお伺いいたします。
また、本計画にかかる地権者の方々に対しては、引き続き、丁寧な対応を行うとともに、今後示す実施計画の中で、整備スケジュールを提示するなど、住民の皆さんに寄り添い、安心した未来を築けるようにしていただきたいと思いますが、区のお考えをお伺いいたします。
平成29年の「練馬区みどりの実態調査」によれば、練馬区全体の緑被地の面積は約1,160 ha、緑被率は24.1%となっています。緑被地の所有別の内訳は、公共のみどりが289 haであるのに対し、民有が871 haであり、民有地のみどりが約4分の3を占めています。10年前と比べると、公共のみどりが約42 ha増加したのに対し、民有地のみどりは約137 haも減少しています。多数の樹木をご自宅で抱える方々にお話を伺うと、口をそろえて、「樹木の管理は、体力的にもお金的にも負担が大きく、子供たちの代に引き継ぐときには切ってしまうつもりだ」とおっしゃっています。民有地のみどりの減少傾向は今後も続くことが予想される中で、いかにして民有地のみどりを守っていくかが重要であると考えます。練馬区には、民有地の樹木や樹林を保護する保護樹林制度がありますが、本制度の助成を受けても、依然として、樹木の剪定や管理にかかる負担は大きいのが実情です。ぜひ保護樹木・保護樹林の所有者に対して、さらなる支援の拡充を要望いたしますが、区のお考えをお伺いいたします。
前川区長の所信において、令和5年度に「(仮称)全国都市農業フェスティバル」を開催すべく準備を進めるとのご発言がありました。都市農業の魅力をより多くの方々に知っていただき、都市農業のさらなる発展につながるイベントとなることを期待いたします。世界都市農業サミットを世界で初めて開催した都市として、今後も国内都市をリードしながら、世界に対しても、都市農業の魅力をさらに発信していただきたいと思います。近日、インドネシア大使のご家族の方が農業を体験したいということで、土支田にあるミカン農園にお連れし、ミカン狩りをお楽しみいただく予定となっています。練馬区の都市農業は、海外の方にとっても魅力的なコンテンツの一つです。都市農業のさらなる発展に向けた取組みとして、区民の方が楽しめることはもちろんのこと、ぜひインバウンド需要の獲得にも取り組んでいただきたいと考えますが、区のご所見をお伺いいたします。
<区長>
お答えいたします。
みどり施策についてです。
先日、落ち葉を清掃するボランティアの現場に伺いました。千川上水沿いに広がる豊かな畑地と鬱蒼とした屋敷林、それを取り囲む並木の美しさに息を呑みました。その中を、子供からシニアまで声を掛け合い、生き生きと活動する姿が印象的でした。親子で参加された方からは、現場でないと分からない新しい発見や気付きがたくさんあった、是非また参加したい、という嬉しい声を直接聞かせて頂きました。
区はこれまで、ローズガーデンをはじめとした特色ある公園の整備や、大泉学園町希望が丘公園の全面開園など、みどりのネットワークの形成に取り組んできました。憩いの森の自主管理を拡充し、区民の皆さんとともにみどりを育むムーブメントの輪を広げる取組も進めています。
今後は、長期プロジェクトである稲荷山公園や大泉井頭公園の整備に向けた検討を進めます。みどりに関する活動に意欲のある区民の皆さんが、気軽に参加できる仕組み作りをさらに進めていきたい。そう考えています。
<都市農業担当部長>
私から、都市農業等についてお答えいたします。
令和5年度に開催する(仮称)全国都市農業フェスティバルでは、都市農業に先進的に取り組む国内都市から、農業者や行政関係者を招聘し、都市農業の魅力の発信、共有・共感に繋がるイベントとなるよう準備を進めてまいります。
収穫体験や農業体験農園では、外国の方に利用頂いています。外国の方の利用が多い果樹あるファームでは、園主の要望を受け、英語、中国語、ハングルで表記した利用案内を掲示し、摘み取りを楽しんで頂いています。
今後も、コロナ後を見据え、農業者と連携し、外国人向けに練馬の農の魅力を発信してまいります。
<環境部長>
私から、保護樹木・保護樹林の所有者に対する支援策についてお答えします。
区では、せん定費用の助成、樹木健全度の調査、賠償責任保険の加入など、各種支援を行っています。秋になると落ち葉への対応が負担となることから、今年度、区民ボランティアによる落ち葉清掃事業を立ち上げたところです。来年度以降、活動場所を拡大していきます。今後も所有者のご意見を伺いながら、支援の拡充を検討します。
<土木部長>
私から、稲荷山公園の整備についてお答えします。
稲荷山公園は、白子川沿いの良好な樹林傾斜地の自然環境を保全するため、昭和32年に都市計画決定されました。その後、市街化が進んだことから、カタクリなど希少な動植物が生息する自然環境を残すため、全国の自治体に先駆け「憩いの森制度」を創設するなど、樹林地を保全する取組を行ってきました。
現在においても大規模な樹林地などの貴重な資源や、特徴的な地形を合わせもっています。白子川をはさんで崖線の森と草地が広がる昔ながらの自然豊かな景観「武蔵野の面影」を再生し、後世に残していくことができる区内で唯一の場所です。
しかし、更なる市街化の進展等に伴い、希少なカタクリの数は減少傾向にあるなど、その保全は困難な状況にあります。そのため、みどりのネットワークの拠点づくりを進める長期プロジェクトとして、稲荷山公園の整備に取り組むこととしました。練馬みどりの葉っぴい基金の区民の森プロジェクトに「稲荷山の森コース」を設けており、集まった寄付金は将来の公園づくりに活用する考えです。
昨年2月に公園整備の基本計画素案をお示し、パブリックコメントなどを通じて、広く区民の声をいただきました。また、本公園の整備には、地権者をはじめとした地域の皆様の理解と協力が不可欠です。地域の方々を対象としたオープンハウスをこれまで3か所、7日間開催してきました。いただいた意見を踏まえ、年度末を目途に基本計画を策定します。
今後、詳細な計画内容や事業スケジュールを検討し、地域の方々の意見や要望を伺いながら、来年度、実施計画を策定する予定です。本公園は規模が大きく、整備には時間を要します。事業の節目ごとに関係権利者の方々に説明し意見を伺いながら進めてまいります。