【視察】次世代の教育プログラム・国際バカロレアをご存知ですか?

おはようございます。
練馬区議会議員の佐藤力です。

今回は、視察で訪れた「札幌市立札幌開成中等教育学校」について、同校で導入されている国際バカロレア(IB)やその意義などを解説します。


今回は、前回に引き続き、練馬区議会自民党で行った視察の中から、「札幌市立札幌開成中等教育学校」について解説します。

皆さんは国際バカロレアをご存知でしょうか。
スイスに本部を置く非営利教育財団・国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラム「国際バカロレア:IB」は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解してそのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
国際バカロレアは、対象年齢によって4つのプログラムに分かれています。
その中でも高校生相当の子供たちを対象としたディプロマプログラムは、非常に厳しい内容で、試験と内部評価によって評価が行われますが、合格者には国際バカロレア資格が授与され、海外の大学を受験する資格を得ることができます。
国際バカロレアを通じてどんな人物になってほしいのか、IBでは学習者像と言いますが、これを明確に示しています。
探求する人、コミュニケーションができる人、挑戦する人など、10の人物像を示しています。

おそらく読んでも、わかるようでわからないと思います。
私のざっくりとしたイメージは、現在の学習指導要領で最も力を入れている「探求学習」をほぼすべての時間において実施しながら、自ら課題を設定し、解決策を考える力を育てる教育プログラムです。


これまでの高度経済成長期の、頑張れば成長できる、正解が見えている時代ではなく、一寸先は闇で、先の見えない時代に加えて、ICTが大きく発展している時代です。
公教育も考える力を身に着けることに重きを置きながら変わろうとしていますが、まだまだインプット中心の教育となっています。
知識はもはやネットで調べれば出てくるので、これから大事なのは、今置かれている状況で何が課題なのか、問題はどこにあるのかを見つけて、どうしたら解決できるのかを自ら考えて導ける力です。
国際バカロレアは、これからを生きる子供たちにおいて必要な教育だと考えています。
国は、「成長戦略2021」において、国際バカロレアの認定校・候補校を増やす意向を示し、「2022年度までに200校以上という目標達成に向けて引き続き取り組んでいく」と表明しました。
そもそも国際バカロレアの認知度がそこまで高くなく、また、国際バカロレアを導入すると、高校卒業時に日本の大学受験資格を得られる1条校となることが難しい部分もあり、200校以上つくるなんて無理だと考えられていました。
しかしながら、文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局の不断の努力で、昨年、200校を超えることができました。
現在、導入に向けて準備している学校もあるため、ますます増加していることが予想されます。
この国際バカロレアを公立学校として初めて導入したのが、札幌市立札幌開成中等教育学校です。
ずっと前から、札幌開成を視察したいと思い続けていて、今までも色々と画策してきたのですが、なかなか実現することができる、今回、政調会長という立場で視察の企画を任されたこともあり、ようやく視察することができました。
札幌開成は、2015年に開校し、2017年に中学生相当の子供たちを対象としたMYP、2018年には高校生相当の子供たちを対象としたDPの認定を取得しています。

この学校の特徴として、国際バカロレア以外に、4つあります。

  • 2時間連続の100分授業。
  • 評価基準を生徒に提示。
  • 宿題を出さない ⇒ 子供たちがワクワクして学べるように。
    宿題を与えられたから、勉強をやる(主体性が失われる)。
  • 定期試験をしない ⇒ 20~30本レポートを作成。

公立学校で国際バカロレアを導入している学校は増えてきていますが、圧倒的に多いのは私立学校です。
その理由の一つに教員があります。
当然、公立学校だと人事異動があり、数年経てば、他の学校に異動しなければなりません。
また、大学の教育課程では学んだことのある人の方が少ない国際バカロレアプログラムに基づいて、子供たちを指導するということはかなりハードルが高いことです。
札幌開成では教員が100名程度いますが、毎年20名程度が異動となり、開校当初の教員はほとんどいないそうです。
そのため、いかに教員への教育を行い、引き継いでいくかが重要で、新任教員には毎週研修を行っているそうです。
あまり他の学校にない特徴を持った札幌開成ですが、生徒たちの人気はどうなのかというと、開校当初は応募倍率が10倍で、現在でも毎年3倍程度で推移しているとのことです。
専門の塾もあり、市内でも優秀な子供たちが集まっていることが分かります。
この札幌開成が国際バカロレアを導入している意味として、一つには子供たちへの教育があり、もう一つには先生たちへの考える力を身に着けさせる力をつけさせることにあります。
学習指導要領が改定され、主体的・対話的で深い学びが重要視され、考える力を身に着けさせる教育を行おうとしています。
しかしながら、まだまだレベルは発展途上です。
この国際バカロレアプログラムを生徒とともに先生たちも学ぶことで、他の学校に異動になったときに、他の学校において国際バカロレアイズムといったものを広げることができ、札幌市全体の教育の質の向上を図ることが狙いとしてあります。
これを聞いた時ハッとしました。
国際バカロレアプログラムばかりに目を取られていましたが、全体の教育の質の向上につなげることができることは非常に意義があることです。
以前より練馬区立学校において国際バカロレアを導入すべきだと話してきましたが、今、学習指導要領が求めている考える力の向上に合致し、全体の教育水準の向上につながると考えれば、ますます導入校をつくるべきだと想いを強くしました。
ハードルは低くないですが、引き続き、実現に向けて尽力してまいります。

僕と一緒に「練馬の力」を伸ばしませんか?

練馬の力サポーターズクラブ